【8月16日 AFP】中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案に端を発した大規模デモが続く香港情勢について、中国政府系メディアは16日、天安門(Tiananmen)事件を繰り返すことはないとする社説を掲載した。

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 1989年6月4日に起きた天安門事件では、民主化を求めて首都北京の天安門広場(Tiananmen Square)に集まった学生らを人民解放軍の部隊が武力鎮圧する映像が全世界に流れ、衝撃を与えた。だが、中国国内では「六四事件」に関する報道は厳しく検閲されており、中国メディアが事件に言及するのはまれだ。

 しかし、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(Global Times)は16日付けの社説の中で、「香港情勢が1989年6月4日の政治事件の再来となることはない」と述べ、「わが国は強大で成熟した国家となり、複雑な状況への対応能力も著しく向上した」と主張。現在の中国政府は、天安門のデモ隊を武力で制圧した30年前よりも高度な手段で香港に対処すると示唆した。

 香港情勢をめぐっては、中国が香港と境界を接する深セン(Shenzhen)に武装警察や軍用車両を集結させており、米国のジョン・ボルトン(John Bolton)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は環球時報の社説に先立つ15日、中国政府に対し「新たな」天安門事件を生じさせてはならないと警告していた。(c)AFP