北極圏の雪からマイクロプラスチック、広範な大気汚染に警鐘 研究
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【8月16日 AFP】北極圏とアルプス(Alps)山脈に積もった雪の中からマイクロプラスチック(プラスチック微粒子)が検出されたことが14日、米科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)電子版に掲載された論文で明らかになった。風に運ばれ、雪に交じって降ったものだという。
研究チームは、大気中のマイクロプラスチック吸入による健康上のリスクについて研究調査を急ぐよう呼び掛けている。
ドイツのアルフレート・ウェゲナー研究所(Alfred Wegener Institute)とスイス連邦森林・氷雪・景観研究所(WSL)の共同研究では、大きさ5ミリ未満と定義されるマイクロプラスチックが大気に乗ってすさまじい長距離を移動した後、雪をはじめとする降水に伴って大気中から洗い流されている可能性があることが分かった。
「雪中のマイクロプラスチックの大半が大気由来だということは、見てすぐ分かった」と、主執筆者のメラニー・バーグマン(Melanie Bergmann)氏は語っている。
研究チームは2015~17年、デンマーク領グリーンランド(Greenland)とノルウェーの間にあるフラム海峡(Fram Strait)に浮かぶ氷盤5か所でサンプルを採取し、赤外線撮像で分析。スイスのアルプス山脈とドイツ北西部ブレーメン(Bremen)でそれぞれ採取したサンプルと比較した。
北極圏で採取したサンプルのマイクロプラスチック濃度は、スイスやドイツのサンプルと比べればずっと低かったが、それでもかなりの濃度だったという。
研究チームは、赤道近くで風に巻き上げられた花粉が北極圏にまで運ばれていることを確認した過去の研究に基づき、マイクロプラスチックが大気中を移動しているとの仮説を主張している。
「大量のマイクロプラスチックが大気に運ばれていることが確認されれば、私たちはそれを吸い込んでいるのか、いるとすればどうやって、どれだけの量を吸い込んでいるのかという疑問が自然と浮かぶ」とバーグマン氏は述べ、人や動物の健康への影響について研究調査を急がなければならないと強調した。(c)AFP