■予期しなかった負の影響

 ワイン生産者やアボカド農家などの農業関係者らは、効果が低い有機殺虫剤に切り替えるなど、これまでの農業のやり方を変えざるを得なくなっている。高付加価値作物である大麻をうっかり汚染したら、新参者である大麻生産者に訴えられる可能性があるからだ。ワイン生産者はまた、大麻の粒子がブドウを汚染するのではないかとも恐れている。

「悪夢になりつつある」とジョセフさんは言う。ジョセフさんは、ブドウの木に使っている殺虫剤が大麻を汚染する可能性があるとして、大麻生産者の隣人から訴えられた。「今年は、白カビにあまり効果がない殺虫剤に切り替えなければならなかったため、5万ドル(約530万円)相当のシャルドネの果実を失うかもしれない」

 地元の大麻生産者を代表する協会は、AFPのコメントの求めに応じなかった。

 大麻政策を策定するサンタバーバラ群管理委員らは、大麻栽培が既存の農業や地域住民に予期せぬ結果をもたらすのを予測できなかったことを認めている。

 委員の一人、ジョアン・ハートマン(Joan Hartmann)氏は、「サンタイネスに集中している屋外での大麻栽培の影響について、非常に懸念している。既存のブドウ園と農業を、この新産業の負の影響から守るために精力的に取り組んでいる」と述べた。ハートマン氏によると、郡では大麻栽培面積を800ヘクタールまでに制限している他、生産者同士の対立を静める方法も模索している。

■「地元は大麻を支援」

 カーピンテリアで大麻栽培を手掛けている「グラスハウスファーム(Glass House Farms)」の最高経営責任者(CEO)で、地元団体「責任ある大麻生産者協会(Cannabis Association for Responsible Producers)」の会長を務めるグラハム・ファーラー(Graham Farrar)氏は、大麻生産者らは臭いの管理システムを導入し、地域に必要とされる税金ももたらし、良き隣人であろうと努力していると主張する。

「地元は大麻を支援している」と、ファーラー氏はAFPの取材に語った。臭いについて苦情が出ていることについては、時々ほのかにスカンクのような臭いがするだけで、圧倒されるほどではないと一蹴した。(c)AFP/Jocelyne ZABLIT