【8月20日 AFP】ワイン産地として有名なカリフォルニア州サンタバーバラ(Santa Barbara)郡で、急増するマリフアナ(大麻)の生産者とワイン生産者が激しく対立している。

 両者の対立は、カリフォルニア州で嗜好(しこう)用大麻が合法化された2016年11月に始まった。風光明媚(めいび)な海岸沿いの町カーピンテリア(Carpinteria)の住民らは、大麻栽培による悪臭に悩まされ、また生計や生活が脅かされると主張している。

 問題は、大麻の栽培許可規制が緩和されたことで、利益の大きい大麻栽培に生産者が殺到し、過去2年間でサンタバーバラ郡における大麻市場が大幅に拡大したことだ。

 批判する人々は、映画『サイドウェイ(Sideways)』で国際的に有名になったブドウ栽培地、サンタイネスバレー(Santa Ynez Valley)やサンタマリアバレー(Santa Maria Valley)に突如、無数の大麻工場が現れたと指摘する。

 さらに南に位置するカーピンテリアでは、住宅地に近い、かつては花の栽培に使われていた温室が、大麻栽培に使われるようになった。住民らは周囲に充満する大麻の刺激臭に憤慨している。

 カーピンテリア在住36年になるジョアン・エスポジート(Joan Esposito)さんは、「庭に出る時はマスクをしなければならない」とため息をつく。

 ロサンゼルスから北へ2時間ほどで行けるサンタリタヒルズ(Santa Rita Hills)地域はピノノワール種のブドウの生産で知られているが、ブドウ園とアボカド農園の付近には今や見渡す限り、大麻栽培用の温室が広がっている。

 ワイン醸造所「フィドルヘッド・セラーズ(Fiddlehead Cellars)」とブドウ園「フィドルスティックス・ビンヤード(Fiddlestix Vineyard)」を経営するキャシー・ジョセフ(Kathy Joseph)さんは「目に見えるほどの影響が出るとは、誰も思っていなかった。この地域の人々は誰も、これほど大量の大麻栽培を経験したことがなかった」と語った。