PORSCHE MACAN

熟成感ありあり

(村上) ところでさ、マカンの今回のマイナーチェンジのキモはどこにあるの?

(齋藤) まずは、エクステリアのアップデート。左右のテール・ライトを一文字に繋いだリア・エンドの見せ方になった。911に始まって次々に他のモデルにも導入されてきたこの意匠の採用がいちばんの目玉なんじゃないかな。マカンが最後になったわけだけれど。それと、ノーズも主にバンパーの造形というかグリルの処理が変更されている。そして、インテリアでは、最新のインフォテイメント・システムの採用。センターコンソール上部に横長の大型液晶パネルがデンと構えている。内部構造では前脚の構成パーツにアルミ鍛造パーツが増えた。スティールからの置き換え。これによってバネ下重量の軽減を図っている。大雑把に言うと、そんなとこかな。

(村上) パッと見たときの印象は前期型と全然変わらない。

(塩澤) 後ろに回って、あ、新型だと気付く。横から見てると分からない。

(大井) カイエンもパナメーラもフルモデルチェンジしての新しさでしょ。でもマカンは見た目の新しさをマイナーチェンジに取り入れてきたわけで、いいモノがさらに熟成された感じが漂っている。それは見た目だけじゃなくて、乗ってもそう。

(村上) 今回乗った印象をひとことで言うなら、熟成度が高まったなという感じかな。

(齋藤) ドイツ系のメーカーは往々にしてモデル後期とか末期がいちばんデキがいいというのはあるけれど、ポルシェもそうだよね。とくにこれは新型エンジンを投入したりしていないから、ほんとに熟成型。

(村上) 素のマカンについては前期型からENGINEでは褒めちぎってきた。クルマ好きが感じる原点にあるような肌触りの良さ。電子制御に頼らない、素材の良さからくる味とか肌触りがいいと推してきた。

全長が短くないだけあって、荷室も大きい。スライド・レールを使って仕切り用のバーをスライドさせられるロードスペース・マネージメント・システムは5万3000円のオプション。荷室床下にも隠し収納スペースがある。

(齋藤) 今回の個体はロードホイールが1インチ大きなオプション仕様で、さらに電子制御減衰力可変ダンパーのPASMがこれもオプションで加わっていたから、素材の良さがそのまま分かりやすく表出していたわけではないとは思うんだけれどね。前期型の素のマカンの最初の広報車は、タイヤは標準サイズ、脚も一発決めのダンパーで、それこそ素性と仕立ての上手さが表に出ていたでしょ。

(塩澤) 良かったよねぇ。

(村上) 今回の仕様では、熟成度が上がっただけでなく、よりスポーティな仕立てになっていることが分かった。脚がより締まって、ダイナミックな動きへの対応力が上がっていた。

(齋藤) 姿勢変化が少なくなっている。柔らかい方への対応はダンピングを緩めて、という方法だよね。結果としてダイナミック・レンジはだいぶ広くなった感じがする。ジワッとしなやかに深くロールしてコーナリングする独特な感じは、PASM付きだと薄まるよね。

(大井) でも、そのPASMの使い方がまた堂に入ったものだった。使い方が上手い。嫌な感じは皆無。

他のポルシェ・モデルと同じように、左右のテール・ライトが繋がった。ブレーキ・ライトは左右4箇所ずつ点灯する。この特別色は15万6000円。

セットアップが実に上手い

(村上) 洋服でもそうだけど、いちばん大事なのってサイズ感じゃないかな。身の丈にあったサイズ。SUVのなかでマカンがそういうものだということだと思う。

(大井) 大柄な大人4人が何の苦もなく快適に過ごせる居住空間を持っていて、荷室も十分に大きい。これで何の不満があるのって思っちゃう。ロング・ツーリングも楽々こなせる。

(齋藤) そもそも911って、子供が2人いる家族が荷物も積んで高速道路を使ったロング・ツーリングができて、独りで走る時にはピュア・スポーツカーそのものの運動性能を発揮できるクルマを目指して生み出されたものなわけでしょ。それを思い出すとね、マカンのなかにその全てがあることに気付く。快適で、運動性能も高くて、高速巡航性能ももちろん高い。加えて、そこそこの悪路まで走れちゃう。

(村上) ポルシェという会社、もともとこういう思想を持っていた。SUVが世の中で流行っているから作ってみました、という風に捉えがちだけれど、SUVってポルシェと相性のいい器なんだと思う。

(大井) 試乗する前は4発の2ℓターボで大丈夫なのかなって思ってたんだけど、全く問題ない。十二分に速いし、音もいい。スポーツする気分を満たしてくれるものがしっかりある。強いて言えば、ブレーキのタッチが柔らかいかなぁ、と。もうちょっとガチッとした感触が欲しいかな。

(齋藤) 優れたシャシーと前後バランスのおかげで、とてもSUVとは思えないようなヴィークル・ダイナミクスを実現しているクルマで、しかもポルシェの名が付いたものとして考えれば、もうちょっとペダル・タッチをなんとかしてくれよという気持ちが生まれるのは分かりますけど。右ハンドルゆえの配管の取り回しの違いも理由にあるのかもしれない。

(塩澤) シャシー・ダイナミクスは凄いよねぇ。ポルシェここにありっていう感じがまざまざとある。

(大井) フロント・アクスルより前に大きくオーバーハングしたエンジン搭載位置とか見ると、そんな凄いものとは予想できないのにね。

(齋藤) 前後重量配分は53対47ぐらい。

(塩澤) 基本レイアウトはアウディそのまんまという感じ。

(村上) セット・アップの上手さ。そこにポルシェの大きな価値がある。

話す人=村上 政+塩澤則浩+齋藤浩之(以上ENGINE編集部)+大井貴之 写真=神村 聖

「新型マカンで分かるポルシェの実力!」前編へ

カイエン・クーペの3モデルすべてにENGINE編集長 村上 政が試乗した。

編集部で2005年式「ポルシェ911カレラ4S」を買う。試乗記♯01

ポルシェ・マカン

  • 駆動方式:フロント縦置きエンジン4輪駆動
  • 全長x全幅x全高:4696×1923×1624㎜
  • ホイールベース:2807㎜
  • トレッド 前/後:1655/1651㎜
  • 車両重量:1840㎏(前1000㎏:後840㎏)
  • エンジン形式:直列4気筒DOHC 16V直噴ターボ過給
  • 総排気量:1984cc
  • ボア×ストローク:82.5×92.8㎜
  • 最高出力:252ps/5000-6750rpm
  • 最大トルク:37.7kgm/1600-4500rpm
  • 変速機:デュアルクラッチ式7段自動MT
  • サスペンション:前/後 ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
  • ブレーキ:前後 通気冷却式ディスク
  • タイヤ:前/後 235/60R18W/255/55R18W
  • 車両価格(税込):699万円〔テスト車:996万6000円〕