【8月15日 AFP】韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領は15日、1910年から45年まで続いた日本による統治からの解放を記念する「光復節(National Liberation Day)」の式典で演説し、日本政府が対話の道を選ぶなら韓国は「手を取る」と述べた。日韓関係が過去最悪にまで冷え込む中、日本との融和姿勢を打ち出した。

 20世紀前半の徴用工問題をめぐる日韓両政府の論争は長期化し、泥沼にはまり込んでいる。両国は報復的な貿易戦争を繰り広げ、今月には輸出管理の優遇措置を適用するいわゆる「ホワイト国」から互いを除外する措置を発表。世界のサプライチェーン(部品などの供給網)に影響が及ぶとの懸念も広がっている。

 しかし文大統領は15日、これまでの強硬姿勢を努めて抑え、韓国政府は東アジアにおける「公正な貿易と協力」の実現に向けて日本政府と協力する用意があると述べた。

 ライトブルーの伝統衣装「韓服」に身を包んだ文氏は、「日本が対話と協力の道を選ぶなら、われわれは喜んで手を取る」と述べた。

「(韓国は)日本に二度と負けない」と今月誓っていた文氏は、韓国政府が「過去にこだわったことはない」と主張した。

 文氏はさらに、「過去を振り返ることは、過去にこだわることではなく、過去を乗り越えて未来へと進むことだ」「わわわれは日本に対し、近隣諸国に不幸をもたらした過去についてじっくりと考えると同時に、東アジアの平和と繁栄を共に導いていくことを期待する」と語った。

 日本政府は韓国人の個人請求権について、1965年の国交正常化の際に締結した日韓請求権協定で解決済みとの立場を取っている。この協定で日本は韓国に対し、約8億ドル(当時のレートで約2880億円)の経済協力資金を支払った。(c)AFP/Sunghee Hwang