【8月15日 AFP】4月の火災で大きな被害を受けたフランス・パリのノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)について、仏文化省は14日、このところの熱波で天井部分の石材が新たに落下し、いまだ倒壊の危険性があるとの見解を示した。

 文化省によると、火災後の大聖堂でこれまで行われてきた作業はすべて倒壊を防ぐのが目的で、まだ修復工事には着手できていない。こうした中、「熱波の影響で先日、(会衆席のある)身廊のアーチ型の天井から石材が新たに落下した」という。

 文化省は、大聖堂の安全を確保する喫緊の必要性があり、作業スピードに影響が出ていると主張。「今も続く倒壊のリスクに関連した緊急性だけが、これまでの作業ペースの正当性を証明している」と述べた。

 文化省に対しては、鉛汚染の危険性を無視しているとの批判がある。大聖堂の保全作業は、火災で拡散した鉛の除染作業のため先月25日に中断されており、来週再開される予定だ。

 仏ニュースサイト「メディアパルト(Mediapart)」は今週、文化省が鉛汚染リスクに関する労働監督署の警告を何度も無視してきたと批判する報告書を公表している。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は5年をめどに大聖堂の修復を完了させるとの意欲的な目標を設定しているが、文化省によれば修復工事には来年まで着手できない見通しだ。(c)AFP