【8月17日 AFP】1969年、米ニューヨーク北部の農場で4日間にわたり開催された野外音楽祭ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Festival)。数十万人が集い、コンサートと自由恋愛、幻覚剤を平和的に楽しんだ。銃乱射事件が相次ぐ今の時代、ウッドストックの自由気ままなイメージは、少し無邪気に映るかもしれない。

 今日、米国で行われる大規模イベントでは、金属探知機や爆発物探知犬、手荷物検査が必要不可欠となり、銃撃犯が群衆に紛れ込んでいるかもしれないという疑心暗鬼は大きくなるばかりだ。警察当局は、ウッドストックのような集まりが再び自然に発生する確率は低いとみている。

 ウッドストックでは、当時の報道に矛盾もあるが、少なくとも2人が死亡したとみられている。1人は清掃中のトラクターにひかれて、もう1人は薬物の過剰摂取で死亡した。

 ウッドストックは、今日と比べると一風変わった趣があった。米国で最も長く続くヒッピー・コミューンとされる「ホッグファーム(Hog Farm、養豚場の意)」は、LSDの幻覚に苦しんでいる参加者に食事を出し、介抱した。治安部隊「プリーズフォース(Please Force)」は、飲んで騒ぐ参加者に静かにするよう丁寧に頼んだ。食べ物が瞬く間になくなると、善意の地元住民らが食料を寄付し始めた。

 ウッドストックの仕掛け人の一人、マイケル・ラング(Michael Lang)氏は50周年を迎える今年、歌手のジェイ・Z(Jay Z)や当時の出演者サンタナ(Santana)ら約80人の出演者を迎えた記念コンサートの開催に希望をかけていた。

 だが古きよき時代とは違って、ラング氏らはコンサートの開催を引き受ける農場を見つけることができなかった。さらに、医療態勢、適切な給水設備、食料の安全性、警備員の確保といった問題をめぐって不許可が相次ぎ、ウッドストック50周年記念コンサートの夢は悪夢と化し、ついに破綻した。