【11月2日 CNS】中国・南京市(Nanjing)では、中国で最も早く高齢化が進み、60歳以上の人口は100万人を超え、高齢者向けサービスは課題が山積している。この問題を緩和するために、同市は市レベルの統一した高齢者向け試験サービスシステムを施行。ボランティア・サービスと高齢者のニーズを「時間の預金」として結び付け、循環使用するものだ。

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 医師を退職した62歳の王莉(Wang Li)さんは現在、鼓楼区(Gulou)の町内会で「健康顧問」を務めている。同じ町内に住む82歳の趙さんが介護を必要とするとき、趙さんの妻が「時間銀行」と称するスマホのミニプログラムを使って介護要請を王さんに出す。趙さんへの介護サービスが終わると、王さんの「時間銀行」の口座に趙さんが認めた「サービス時間」が記録される。この「サービス時間」は王さんが高齢になってボランティアから高齢者サービスを受けた時に、費用の代替として使うことができるという仕組みだ。

 統計によると、南京市の60歳以上の高齢者は147万人で人口の21%を占め、65歳以上の高齢者は100万人で人口の15%を占める。高齢者の人口は毎年4%~5%の速度で増え続けている。

 南京市民政局の陳芳(Chen Fang)副局長は、「高齢者向けサービス従事者は深刻な担い手不足で、現在3000人足らずしかいないが、社会の高齢者サービスの需要は増大している。人口の高齢化に対応し、高齢者サービスの担い手不足問題を緩和するため、2008年から『サービス時間』を『交換可能なマネー』に換えることのできる『高齢者サービス銀行』の取り組みが、南京の市内各所で静かに進行している」と語っている。

 しかし、前例がないため、種々の問題に遭遇している。例えば、市民は現金を欲しがるとか、適用範囲が狭すぎる、時間的間隔が空きすぎる、サービスが必要となった時に交換不能となってしまうのでは、といった心配の声も出ているという。

 2020年下半期には、試行ポイントを基礎として、「時間銀行」の取り組みを全南京市に展開していく予定としている。(c)CNS/JCM/AFPBB News