【8月12日 AFP】オーストラリアは12日、中国からの供給が不安視されるレアアース(希土類)をはじめとする軍事産業に欠かせない鉱物の生産拡大を目指すと発表した。

 リンダ・レイノルズ(Linda Reynolds)国防相は、同国パース(Perth)で行った講演で、資源豊富なオーストラリアには、米英など同盟諸国へ安定供給していけるだけの埋蔵量があると明言した。

 リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトなどの鉱物資源は、スマートフォンやレーザー機器、航空電子機器、軍事装備などの製造に用いられることから、「テックミネラル」や「テックメタル」とも呼ばれる。貿易戦争に直面する中国は、テックミネラルの輸出制限の可能性を警告してきている。

 レアアースのうち、95%以上を産出しているのが中国で、米国はレアアース輸入の80%以上を中国に依存している。

 レイノルズ氏は、欧米の同盟諸国がレアアースを中国以外から調達することの重要性を強調。「オーストラリアには、既知のテックメタル埋蔵分の少なくとも40%があり、さらに現代のテクノロジーとわれわれの生活に不可欠なレアアースも埋蔵されている」と話した。

 これに先立ち、ドイツ鉄鋼大手ティッセンクルップ(Thyssenkrupp)と豪鉱業会社ノーザン・ミネラルズ(Northern Minerals)が、豪北部におけるレアアース採掘事業で契約を締結したと報じられた。

 シドニーの上場企業であるノーザン・ミネラルズは、同社が5600万豪ドル(約40億円)を投資した試験事業で採取する重希土類を含む炭酸塩鉱物の100%を、ティッセンクルップが取得すると発表。ノーザン・ミネラルズは、中国企業との2年契約を終えたばかりだった。

 ノーザン・ミネラルズは、中国外では初となる希土類元素の一つのジスプロシウムの主要供給元となることを目指している。(c)AFP/Peter Williams