【8月11日 AFP】香港を拠点とするキャセイパシフィック航空(Cathay Pacific Airways)は10日、同地で続く大規模デモを支持する職員が、中国本土の離着陸便や中国の領空を通過する航空便で勤務することを禁止するとした中国航空当局の新規制に従う意向を表明した。

 さらに同航空は、反政府デモに参加し暴動の罪で起訴された操縦士を停職処分としたほか、地上業務スタッフ2人を違反行為で解雇したと明らかにした。反政府デモに関連したものとみられる。

 中国民用航空局(CAAC)は9日、キャセイパシフィック航空に対し、11日以降、中国本土とを結ぶ航空便のスタッフの身元情報を提供するよう命じ、さらに香港の「違法抗議デモ」支持者とみなされたスタッフは、本土とを結ぶ便および中国領空を通過する便での業務が禁止されると警告。

 同航空の一部スタッフが抗議活動に参加し、さらに操縦士が暴動の罪で起訴されたとメディアが報じたことから、中国政府のいら立ちの矛先が同航空に向けられたとみられる。

 これを受けて同航空のルパート・ホッグ(Rupert Hogg)最高経営責任者(CEO)は10日、従業員宛てのメッセージで、CAACが設定した新規制に従わざるを得ないと表明。

「キャセイパシフィックグループの中国本土における業務は、わが社の事業の鍵となるものだ。本土を離着陸する便だけでなく、わが社のかなりの数の欧州および米国行きの便が、中国本土の領空を通過している」と説明し、「よってわれわれは法的にCAACの規制に従う必要がある」と話した。また「われわれに対して管轄権を有する、いかなる規制当局が発令した、いかなる通知と同様に、われわれは従わねばならないし、従うことになる」と付け加えた。

 ホッグCEOはさらに、従業員に対して振る舞いに気を付けるよう注意を促し、「われわれは多様な意見を共有しているかもしれないが、お互いを、われわれの顧客を、社会のメンバーをわれわれが尊重することは不可欠だ」と主張。「わが社の航空便の安全な運航と、顧客に提供するサービスに影響を及ぼし得る不適切な行為は一切、容認しない」と警告した。(c)AFP