【8月11日 AFP】ノルウェーの首都オスロ近郊バールム(Baerum)にあるモスク(イスラム礼拝所)「ヌール・イスラムセンター(Al-Noor Islamic Centre)」で10日、複数の武器を手にした男が発砲し、1人が負傷した。男はモスクでコーランを読んでいた75歳の信者に取り押さえられ、逮捕された。ノルウェー警察と目撃者が明らかにした。

 午後4時(日本時間同11時)ごろ、警察に通報があった。知らせを受けて現場に駆け付けた同モスクの責任者は現地メディアに対し、容疑者は黒い服を着た若い白人の男で、ヘルメットと防弾ベストを身に着けていたと語った。「銃のカートリッジが散乱し、カーペットに血が付いているのが見えた。そして、私たちの信者の一人が襲撃者の上に座っていた。血まみれだった」

 モスクの責任者によると、容疑者を制圧したとみられる75歳の信者は、礼拝を済ませてコーランを読んでいたところ、事件に巻き込まれた。また、事件前に同モスクに対する脅迫はなかったという。

 事件当時、ヌール・イスラムセンターにいたのは3人だけだった。警察は当初、1人が撃たれたと発表していたが、後に銃による傷かどうかは不明だが1人が軽傷を負ったと訂正した。警察は単独犯だったとみている。

 オスロ警察のルーン・ショルド(Rune Skjold)氏は10日の記者会見で、容疑者は「ノルウェー人の若い男で、生まれも育ちもノルウェーだ。首都近郊在住だ」と述べた。さらに警察は容疑者のネット上での活動を事件前から把握していたと明らかにしたが、犯罪歴の有無には言及しなかった。

 事件から数時間後の同日夜、警察はバールム郊外の民家で容疑者と関係がある若い女性の遺体が見つかったと発表した。警察は女性の死に不審な点があるとして、殺人事件として捜査を開始した。

 ノルウェーメディアが警察発表として報じたところによると、20代前半の容疑者の男が拘束されており、モスクでの銃撃とバールム郊外での殺人事件について取り調べを受けるという。

 民放のTV2の報道によると、警察は容疑者の身元を突き止め、同名の人物が事件の数時間前に行っていたオンラインフォーラムへの投稿も特定した。この投稿は、今年3月にニュージーランド・クライストチャーチ(Christchurch)の2か所のモスクで起きた銃乱射事件の実行犯を称賛したものとみられ、「バルハラ(Valhall、北欧神話の戦死者の館)が待っている」という言葉で締めくくられていた。(c)AFP