【8月10日 AFP】米国務省のモーガン・オータガス(Morgan Ortagus)報道官は9日、中国政府系の香港紙に対し、香港の民主化運動の活動家らと接触した米外交官の個人情報を暴露したとして「危険な」報道をやめるよう要請した。

 オータガス報道官はツイッター(Twitter)で、「香港駐在のわが国の外交官に関する中国国営メディアの報道は、無責任というよりもはや危険な段階に達している。やめるべきだ」と非難した。

 香港拠点の中国系日刊紙、大公報(Ta Kung Pao)は先日、香港の米総領事館の政務担当職員ジュリー・イーデー(Julie Eadeh)氏が、2014年の民主化デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」の学生リーダーだった黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏を含む、「香港衆志(デモシスト、Demosisto)」党のメンバーらと面会していたことに加え、イーデー氏の経歴や家族の名前などを報道。中国外務省は8日、香港駐在の米外交官らに対し、香港の問題に「干渉するのをやめる」よう要求した。

 これに対してオータガス氏は、「(外交官の個人情報のリークは)正式な抗議とは思えない。暴力的な政権がすることだ。責任のある国家がすることではない」と批判。同氏はAFPに対し、「中国当局は、信任状を与えられたわが国の領事館員らが、他国の外交官同様、自分の職務をこなしているだけであることは十分に承知している」と主張し、米外交官は「香港やマカオで、あらゆる人々と定期的に会っている」と強調した。

 中国政府は、香港で起きている反政府デモについて、欧米諸国から資金援助を受けているとの主張を強めているが、欧米諸国の一部政治家たちが支持を表明した以外に、これを裏付ける証拠はほとんど示していない。

 一方、香港衆志は、同党の政治運動は香港の自決権を求めるもので、独立を求めているわけではないと述べている。(c)AFP