【8月31日 AFP】南アフリカのコミュニティーラジオ局「アレックスFM(Alex FM)」に毎週土曜日、元気な10代の若者が集まり、ヒップホップの曲をかけながら、地域の銃犯罪問題について意見交換を行っている。

 銃犯罪は彼らにとって、あまりに身近な話題だ。ある少女は自分の誕生日に父親が銃で撃たれて命を落としたと語り、別の少女は自分の父親は銃犯罪を起こしたが更生したと明かす。番組出演者の一人、ミシェル・セレメラ(Michelle Selemela)さんは、自分の父親は刑務所を出所して以来、犯罪と暴力から足を洗い、セレメラさんのラジオ番組出演を励ましてくれていると語った。

 ヨハネスブルク郊外の人口が密集する犯罪多発地域であるアレクサンドラ(Alexandra)は、ビジネス街と高級住宅街があるサントン(Sandton)からわずか5キロしか離れていない。だが、貧困と危険がまん延し、むき出しのれんが製の家やトタン屋根の小屋が立ち並び、水道や電気は通っていない。

 アレックスFMの番組「ビガー・ザン・ライフ(Bigger Than Life)」には、アレクサンドラの暴力を根絶しようと決意した10代の若者約20人が集まっている。銃規制について意見を交わしたり、インタビューや音楽を流したり、15万人いる聴取者から電話で意見を受け付けたりしている。

 出演者の一人、ジェニファー・ヌゴベニ(Jennifer Ngobeni)さん(16)はAFPの取材に「アレクサンドラのすべての子どもが生き証人だ…毎晩、金曜日から日曜日まで、時には平日にも、銃声が聞こえる…それが日常だ」と話した。

 聖書に出てくる罪深き都市にちなみ「ゴモラ」とも呼ばれるアレクサンドラは、ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領が1940年代初頭に反アパルトヘイト(人種隔離)運動を始めた場所だ。今では約30万人が暮らす極貧地域となり、ギャングの暴力、失業、基礎的な保健・教育サービスの欠如に悩まされ、下水溝とごみが通りの美観を損ねている。