【8月10日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は9日、オハイオ、テキサス両州での銃撃事件を受け、共和党議員らは銃所持規制への反対を棚上げし、銃購入者への身元確認の義務化を支持するだろうとの見通しを示した。

 共和党議員らは長い間、銃購入者に対する身元確認の義務付けに抵抗してきた。また米国最大の銃ロビー団体、全米ライフル協会(NRA)は、米憲法が認める武器所持の権利の締め付けにつながりかねないと主張している。

 だが、米国で強力なライフル銃を持った銃撃犯による惨劇が増え続ける中、テキサス州エルパソ(El Paso)、オハイオ州デートン(Dayton)で計31人が死亡した先週の事件を受け、政界の動きに変化が見られる。

 トランプ大統領はホワイトハウス(White House)で記者団に対し、共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は身元確認に「完全に乗っている」と発言。さらに「正気でない人々、精神を病んでいる人々、悪人たち、危険人物たち」が銃を買うことを望まないという考えに対し、銃所持の権利を「強硬」に支持する共和党議員らでさえ理解を示していると述べた。

 またトランプ大統領はNRAのウェイン・ラピエール(Wayne LaPierre)最高経営責任者(CEO)と話をしたことを明かし、「良い会話」だったと述べた。

 同大統領はNRAを「素晴らしい人々」の集まりだと評し、自分よりも銃所持の権利を支持してきた大統領はいなかったと強調した一方、「病んだ人々が銃を手にしないよう、意味のある身元確認が必要だ」と語った。

 ラピエール会長は8日、現在多くの人が提案している銃規制強化策が実施されていたとしてもエルパソやデートンでの事件は防げなかったはずだと指摘し、トランプ大統領に銃規制強化への懸念を伝えたことを明らかにしていた。

 銃規制反対のロビイストらは、乱射事件でよく使われるアサルトライフルは、狩猟や護身用として人気の高い合法的な武器だと主張している。トランプ大統領や共和党も、アサルトライフルを禁止しようという民主党の提案にはあくまで反対する意向とみられる。(c)AFP/Sebastian Smith