【8月10日 AFP】米国出身の元フィギュアスケート選手が9日、かつて五輪選手を育てた輝かしい経歴を持つ元指導者のリチャード・キャラハン(Richard Callaghan)氏から性的暴行を受けていたとして提訴した。現在73歳の同氏は1998年長野冬季五輪で女子シングルの金メダルを獲得したタラ・リピンスキー(Tara Lipinski)氏や、1996年の世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)王者で、通算6度の全米選手権(U.S. Figure Skating Championships)制覇と3度の冬季五輪出場を誇るトッド・エルドリッジ(Todd Eldredge)氏らを指導していたことで知られている

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 現在34歳のアダム・シュミット(Adam Schmidt)さんは、キャラハン氏をはじめ性的暴行被害の訴えを取り合わなかった全米フィギュアスケート協会(USFSA)、そして疑惑の現場となった米ミシガン州のスケート場、オニキス・アイスアリーナ(Onyx Ice Arena)を相手取り、サンディエゴ郡上級裁判所(San Diego Superior Court)に訴訟を起こした。シュミットさんは10代だった1999年から2001年の間にミシガン州で「何度も性的暴行」を受け、同氏の下を離れた後の2001年にもカリフォルニア州の大会で1度同じ被害に遭ったという。

 シュミットさんはABCニュース(ABC News)に対し、これまでにもキャラハン氏の性的虐待疑惑があったことについては、元スケーターで五輪コーチになったクレイグ・マウリツィ(Craig Maurizi)氏が昨年、米国体操連盟(USA Gymnastics)の元医師ラリー・ナサール(Larry Nassar)被告による虐待スキャンダルの中で、大きな注目を浴びたことで知ったと語った。

 マウリツィ氏は1999年にUSFSAに対して、1977年から86年までの間にキャラハン氏から性的虐待を受けたと訴えていた。当時の訴状には同様の虐待を受けていたり、キャラハン氏の性的暴行を目撃したりしていた人々の供述が含まれていたが、同氏は疑惑を否定。USFSAは当時、協会の規則では不正行為などの問題については60日以内に報告することが定められているとして訴えを退けており、これによってキャラハン氏は指導を続けることが許されていた。

 シュミットさんは、この判断がキャラハン氏の「衰えることなく続く」虐待行為を許し、自身の精神的なダメージにつながったとの認識を示した。また訴状にはUSFSAが「性的暴行疑惑を明確に把握していながらも、調査を行うことや(シュミットさんに)前もって同氏の悪行を警告することを怠り、(キャラハン氏が)スケートのレッスン中や帯同している大会で未成年の子どもたちに接近することを阻止する手立てを何も講じなかった」と記されている。

「(キャラハン氏が)性的虐待を繰り返しているという告発があったにもかかわらず、(同氏は)2018年まで(USFSAと)良好な関係を続けていた」

 マウリツィ氏は米国セーフスポーツセンター(US Center for SafeSport)にキャラハン氏に対する疑惑を再度訴えており、この問題については1年半にわたり調査が行われている。

 キャラハン氏の代理人は、シュミットさんがABCに語った内容について、「シュミット氏の申し立ては100パーセント虚偽である」「その中に真実は何もない」と否定した。

 シュミットさんによると、虐待行為の主な現場となったのはミシガン州ロチェスター(Rochester)のオニキス・アイスアリーナで、このスケート場が(キャラハン氏の)性的虐待行為を知りながら、子どもたちへの指導を続けさせていたとされている。当初デトロイト(Detroit)のスケート場で始まった虐待行為は、ロチェスターでエスカレートしていき、氷上での不適切な接触は、キャラハン氏のオフィスでも続いたという。

「氷の上でのレッスンが終わってから彼のオフィスに行く機会が、どんどん増えていった」「そして、行為はもっと生々しいものになっていった」 (c)AFP