■影響する要因は…

 ただ、合法化の行為自体によってこの効果が生じるわけではない。チャン氏と米コロラド州立大学(Colorado State University)の共同研究者らは、販売薬局を通じて合法的に大麻を入手できる州において最も大きな死者数の減少が見られたと論文に記している。

 今回、影響する要因についての調査は行っていない。ただ、自己治療を行う人が増え、より多くの人が大麻の使用で痛みに対処していることから、「そうした人が中毒性のオピオイドに手を出す可能性は低い」ことが考えられるとの見方をチャン氏は示した。

 今回の研究結果は、生まれたばかりの合法大麻業界には歓迎されるものとなった。ただ、他の研究で同様の結果が再現されるまでは慎重に取り扱われることになるだろう。

 このテーマに関する一部の先行論文では逆の結果になることが明らかになっている。すなわち、大麻の使用が非医学的に処方されるオピオイドの使用を減少ではなく増加させるという結果だ。

 だが、大半は経済学者でなく医師が執筆したこれらの先行論文では、正相関と因果関係を適切に区別できていないと、チャン氏は指摘する。これは、特定の薬物の使用者が複数の薬物に引き寄せられることを踏まえて明らかにすべき重要な区別だという。

 今後の研究でチャン氏は、今回の成果を成し遂げたメカニズムの特定に取り組み、自身の代用理論を検証したいと話している。(c)AFP