【8月9日 AFP】イタリアの「永遠の都」ローマ――その観光名所の一つが、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)とグレゴリー・ペック(Gregory Peck)主演の米映画『ローマの休日(Roman Holiday)』(1954年)で有名になったスペイン階段(Spanish Steps)だ。だが、もはや階段に腰掛けて一休み、というわけにはいかなくなった。今夏から市当局が、この有名な階段に座ることを禁じる条例を新たに導入したためだ。6日に現場を訪れたAFPのカメラマンによると、警官が階段に腰掛けた人たちに向かって笛を吹き鳴らして退くよう指示していたという。

 スペイン階段は古都ローマの代表的な名建築の一つで、イタリアの建築家フランチェスコ・デ・サンクティス(Francesco de Sanctis)が設計し、1723年から26年にかけて建造された。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)にも登録されている。

 一方で、上り切ったところにトリニタ・デイ・モンティ教会(Trinita dei Monti)があり、スペイン広場(Piazza di Spagna)を臨む階段は、歩き疲れた観光客たちがしばし腰を下ろし、サンドイッチをぱくついたりミルクセーキを飲んだりしながら風景を眺める場所ともなっていた。

 2016年には、高級宝飾ブランドのブルガリ(Bulgari)が150万ユーロ(約1億8000万円)を出資して、階段の補修が行われている。

 大理石でできた階段は長年の汚れで変色していた上、ガムがこびりついたり、ワインやコーヒーの染みがついたりしていた。

 こうした状況を受け、ローマ市は観光客らのマナーの悪さを取り締まるべく今夏から新しい規制を施行。階段とその下にある「舟の噴水」を含めた史跡内での「長時間滞在」や「腰掛け行為」を全て禁止した。座る行為のほかにも、上半身裸になることや噴水内での水浴び、史跡であるスペイン階段をキャリーケースを引きずって移動することなどが禁止され、違反者には最高で400ユーロ(約4万7000円)の罰金が科せられる。(c)AFP