【8月8日 AFP】イタリアオリンピック委員会(CONI)は、議会で提案されたスポーツに関する新たな法律の枠組みに関して、国際オリンピック委員会(IOC)から「重大な懸念」があると警告を受け、来年開催される東京五輪の出場が危ぶまれる状況に直面している。

 AFPが確認したCONIのジョバンニ・マラゴ(Giovanni Malago)会長宛ての書簡では、この法律が「CONIの自治権に明確な影響を及ぼす」と書かれていた。この書簡は伊紙コリエレ・デラ・セラ(Il Corriere della Serra)の6日付の記事で明らかにされ、オリンピック・ムーブメントのメンバーシップは「オリンピック憲章を順守し、ICOの承認が必要である」とするオリンピズムの根本原則を想起させるものとなっていた。

 各国内オリンピック委員会(NOC)を援助するオリンピック・ソリダリティー(Olympic Solidarity)の責任者で、書簡に署名したジェームス・マクラウド(James Macleod)氏は、イタリアの新たな法律がオリンピック憲章に同調していないと指摘した。

 CONIの関係者はAFPの取材に対し、6日の議会で法律の枠組みが採択された後に書簡が公表されたことを受けて、状況が「複雑化」していると話した。

 問題の法律では、政府がCONIを改革する権限を持つことになっている。しかし、議員らはCONIの独立性は保たれると主張。上院議員の一人は、「われわれは、政府の権限行使を承認する拘束力のない決議を通過させたが、オリンピック憲章については尊重している」と述べたと現地メディアで伝えられた。

 一方、イタリアのマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼内相の側近で、同国のスポーツ相を務めるジャンカルロ・ジョルジェッティ(Giancarlo Giorgetti)氏は、法令の正式可決に向けた作業を続けていくとしており、「そのプロセスにおいて、IOC職員からの書簡に示されたすべての誤解を解いていく」と述べた。

 東京五輪の開幕を1年後に控える中、IOCの今回の書簡は「仮にその国で施行されている憲法、法律または規則に懸念が浮上し、あるいは政府または別の団体がNOCの活動や表現を阻害するような行為に及んだ場合」、責任者にはNOCの認可を保留あるいは取り下げる権限があると警告するものになった。

 IOCは7日、この問題をめぐってCONIと緊密に連絡を取っていると明かした。また、広報担当者は「IOCは本日、CONIと関係する政府当局との合同会議を9月にスイス・ローザンヌ(Lausanne)で開くことを提案した」とすると、この会合の目的は、「状況を慎重に吟味した上で、相互に受け入れ可能な解決策を模索し、新たな法律の枠組みがオリンピック憲章の基本方針や規則に完全に準拠するものになるということを明確にさせる」ためのものと補足した。(c)AFP