【8月8日 AFP】ドイツ・ブンデスリーガ1部、シャルケ04(Schalke 04)のクレメンス・テンニース(Clemens Toennies)会長は、前週に公の場で「人種差別」的な発言をして厳しい批判にさらされたことを受け、3か月間の謹慎処分を受けた。

 総勢5人で構成されるシャルケの倫理委員会は6日、テンニース会長が弁明を余儀なくされた長い会議の後、同会長が「クラブ規則で定められている差別禁止条項に違反した」とのコメント文を発表した。

 クラブ側は、会長が監査委員会のメンバーと議長の職から3か月間退くことを決意し、「6日の会議で違反を認め、改めて後悔の念を表した」と明かした。しかしながら、人種差別があったとの告発ついては「事実無根」として退け、解雇などの厳しい処分は見送った。

 米経済誌フォーブス(Forbes)の試算で22億ユーロ(約2615億円)もの資産を所有するとみられ、1万6500人を雇用している億万長者のテンニース会長は、先月30日に独パーダーボルン(Paderborn)で開かれたフォーラムにおいて、気候変動対策のための増税を批判する一方で、アフリカにもっと発電所を増やせば「アフリカ人は木の伐採と、暗くなってから子づくりに励むのをやめるだろう」と発言し、厳しい批判にさられた。

■「影響は計り知れない」

 ソーシャルメディア上でシャルケファンがテンニース会長の退陣を要求している一方で、ドイツではサッカー界の重鎮や政治家が、同会長の発言を糾弾している。

 一部のシャルケファンは、ファンクラブの会員証を返納して抗議の姿勢を示している。また、シャルケ・ファン・イニシアチブ(Schalke Fan Initiative)の代表は、独スカイ・スポーツ・ニュース(Sky Sports News Germany)に対して、「この決断は透明性とある程度の秩序をもたらした。しかし、3か月後にはどうなる?」「このままでは反発が起きるだろう」と述べた。

 また、ドイツ連邦議会のスポーツ委員会で責任者を務める女性政治家は7日、同国放送局NRDに対して、「もし、私が全大陸と人口を分類したら、それは『単なる』差別ではなく人種差別になる」「ささいな過ちであっても、罪の意識がないままタブーを破るようなことがあれば、特にこの時代において、社会への影響は計り知れないものになる」と述べ、倫理委員会の判断を批判した。

 テンニース会長は4日、「人種差別、差別、排除」を禁止するクラブの価値観を支持すると訴え、自身の「不適切」な発言を謝罪していた。(c)AFP