■「当局が捜査を拒否」

 サイトは最近になってようやく閉鎖され、暗号化が可能な人気メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」に開設していたチャンネルも利用不可能となった。だがピラは、サイト閉鎖後も「最後までゲームをする」と約束している。

 捜査当局は先月下旬、グリゴリエワさん殺害容疑で男を逮捕し、事件は個人的ないさかいが原因だったと示唆。その後、これは誤認逮捕だったとして、新たな容疑者の身柄拘束を発表した。

 ただ捜査当局は、グリゴリエワさんが受けていた同性愛嫌悪的な脅迫には言及せず、殺人犯はグリゴリエワさんの飲み仲間だったと示唆。また、過激派対策を担当するロシア政府機関は、ウェブサイトが閉鎖されているためピラに対する調査は行えないと説明している。

 LGBT活動家らは、当局がグリゴリエワさん殺害事件とピラに対する適切な捜査を拒んでいると非難。ピラは冷血な殺人集団ではないかもしれないと認めつつも、その主な目的は同国で弱い立場に置かれている同性愛者にさらなる恐怖を与えることだと主張している。

 ロシアでは1993年に同性愛が合法化されたが、同性愛者に対する嫌悪は今も根強く残っている。2013年には、未成年者に向けた同性愛の「プロパガンダ(宣伝)」を禁じる法律が成立。以降、同性愛者に対する暴力は増加している。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、日本で6月に開催された20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、ロシアは同性愛者の人権を尊重していると主張した一方で、性自認の問題をやゆし「トランスフォーマー、トランス……私はこれが何なのかさえ分からない」と述べた。(c)AFP/Marina KORENEVA with Anna SMOLCHENKO in Moscow