【8月7日 AFP】スペイン・プロサッカーリーグ機構(LFP)のハビエル・テバス(Javier Tebas)会長が、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)とフランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)を「サッカー界にとってのかつてない脅威」と名指しし、莫大(ばくだい)な資金を持つ新興の強豪クラブを改めて非難している。

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 以前からシティを強く非難しているテバス会長は、それぞれアラブ首長国連邦の首都アブダビとカタールに拠点を置くシティとPSGのオーナーが、チームに大金を注ぎ込むことで、サッカー界の構造がいびつになっていると話している。

 ポッドキャストのサッカー番組「トータリー・フットボール・ショー(Totally Football Show)」に出演した会長は、「国家をバックに持つクラブは新たな現象で、サッカー界にとってはかつてない脅威だ」「どちらも完全にルールの範囲外で動いていて、彼らが受ける資金援助は、壊滅的なレベルのインフレを市場に起こす危険がある」と話した。

 シティは現在、クラブ経営に関する欧州サッカー連盟(UEFA)の規則に違反した疑いで調査を受けているが、テバス会長は、「欧州サッカーを統括する人間は、健全な国内サッカーの実現に対する意欲をいっそう強く示す必要がある」と話し、UEFAに対してもっと強力なリーダーシップを取ってこの問題をコントロールすることを求めている。

「たとえばもっと厳格に財務を管理して、マンチェスター・シティやPSGのようなクラブが他クラブをはるかに上回る額を使うことを制限する方策も必要だろう。ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の罰則の強化もそう。現時点では、罰則の抑止力は極めて限定的だ」

「国営クラブは、われわれの財務ルールに完全に反している。スペインリーグに参入したい人間は、われわれの規制に従う必要があるし、借金をつくったり、市場にインフレを起こしたりすることは許されない。そういったものは認められていない」

 テバス会長も、スペインリーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)やレアル・マドリード(Real Madrid)といったその他の欧州の強豪が、大型補強を繰り返していることは分かっている。しかし、シティやPSGの方が業界への悪影響が大きく、彼らの莫大な投資によって移籍金にインフレが起こっているという主張は揺らがない。

「バルセロナとレアル・マドリードは国家の支援を受けたことはないし、財政的にも常に責任ある経営をしている」「ビッグクラブは欧州の至る所にあって、規制がなければ、彼らが市場をゆがませる可能性があるのは確かだ」「スペインでいえば、ここ数年で借金の額はかつてなく減っているし、国内の他のクラブに資金がないのに、ビッグクラブにだけお金を持たせようとは思っていない」 (c)AFP