【8月6日 AFP】香港全域で大規模なストライキが実施され交通が混乱に陥った5日、市内の複数の場所で機動隊と民主派のデモ隊が衝突し、騒乱はさらに広範囲に拡大した。警官隊とデモ隊の衝突はこれで3夜連続となった。

 2か月にわたって続き、次第に暴力性を増しているデモの中でも混乱が最も広範囲でみられたこの日、警官隊は市内の少なくとも11か所の地域でデモ隊を解散させるために催涙弾を発射した。

 民主派の活動家らは5日朝のラッシュ時、市内複数の地下鉄駅でわざと車両のドアが閉まらないようにするなどして運行を妨害し、毎日数百万人が利用する香港の地下鉄網の大半をまひさせた。活動家らはその後、7か所で同時に集会を開き、さらに複数の警察署を包囲して、大衆の怒りの矢面に立っている警察要員の分散を図った。

 立法会(議会)前ではデモの参加者が、巨大なぱちんこ状の道具を用いてれんがを投てきし、警官隊と激しく衝突した。また、労働者が多く住む黄大仙(Wong Tai Sin)区では終日、催涙弾が発射された。

 夜になると繁華街の北角(North Point)で、長い棒を持った男性の一群がデモ参加者らと衝突。一群がデモ参加者らを追いかけ棒で殴りかかると、デモ隊はそれに応酬して三角コーンやバリケードを投げ返した。同地区は中国本土からの移住者が多く、中央政府との強い結びつきでも知られている。

■屈しないデモ隊

 警察当局は会見で6月9日のデモ開始以来、420人を逮捕したと発表。発射した催涙弾は1000発以上、ゴム弾は160発に及んでいるという。またこれまでに警官139人が負傷した。

 デモ隊側には一向に屈する気配はない。政治評論家のディクソン・ウォン(Dixon Wong)氏は「今日の政治的ストライキは強く支持されているように見えるし、警察とデモ隊の衝突激化によって、さらにその支持は強まっている」とAFPに語った。

 デモ発生のきっかけは中国本土への容疑者移送を可能にする逃亡犯条例の改正だったが、今や民主改革を求め、自由への侵食を止めさせようとするさらに広範な運動に発展している。