【8月4日 AFP】シリア内戦をめぐり、反体制派のイスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」のアブムハンマド・ジャウラニ(Abu Mohamed al-Jolani)指導者は3日、北西部イドリブ(Idlib)県での停戦に政権側が同意したことについて、停戦が発効しても非武装地帯(DMZ)の設定地から一切、部隊は撤退させないと強硬姿勢を示した。HTSの前身は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と関連したイスラム過激派組織「ヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」。

 これに先立ち、国営シリア・アラブ通信(SANA)は1日、トルコとロシアの合意に基づいてイドリブ県一帯に非武装地帯を設定することを条件に、シリア政府がイドリブでの停戦に同意したと報じた。政権側はイドリブへの空爆を翌日から停止している。

 しかしジャウラニ指導者は、HTSが設定した3日の記者会見で「われわれは絶対に非武装地帯から撤退しない」と言明し、「友が要請しようが、敵が要請しようが、態度を変える気は毛頭ない」と述べ、非武装地帯案を全面的に拒絶した。

 HTSの支配下にあるイドリブ県のほぼ全域とハマ(Hama)県、アレッポ(Aleppo)県、ラタキア(Latakia)県には、約300万人の住民が暮らしている。

 イドリブに関してはトルコとロシアが昨年9月、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領傘下のシリア政府軍と反体制派間に最大幅20キロの非武装地帯を設置し、重火器および中火器の持ち込みを禁止することで合意。これによりイドリブは一時、政府軍の大規模攻撃を免れていたが、今年の4月末から政府軍とこれを支援するロシア軍による空爆が激化。シリア政権側は、合意の履行を先延ばしにしているトルコ側に非があると主張している。(c)AFP