【8月3日 AFP】英イングランド中部ダービーシャー(Derbyshire)州で、豪雨によりダムに決壊の恐れが発生し、近隣住民1000人以上が緊急避難したほか、2日には英空軍のヘリコプターが出動する事態となった。

 このダムは、ダービーシャー州ピークディストリクト国立公園(Peak District National Park)にあるトッドブルック(Toddbrook)貯水池ダム。19世紀に建設されたもので、総貯水量は130万トン。

 最近続いた豪雨でダム片端の越流部が劣弱化。1日には表面のコンクリート板がはがれ始めた。このため、英国政府はダム下流地域のウィーリーブリッジ(Whaley Bridge)の住民に対し、「命に危険が及ぶ恐れのある深刻な洪水警報」を発令。ダービーシャー警察によると、ダムが決壊すれば即時に水没する恐れのある地域に住む1000人以上が避難した。

 ウィーリーブリッジはピークディストリクト国立公園の端にある町で、大都市マンチェスターの南東26キロの位置にある。

 2日には英王立空軍(RAF)の大型輸送ヘリコプター「チヌーク(Chinook)」が出動し、コンクリート板がはがれたダムの越流部に1トンの砂袋を約400個、次々と下ろして崩落を防止。英各地から動員された消防隊員150人が貯水池からの水抜き作業に当たった。

 警察は、ダム決壊を防ぎウィーリーブリッジを保護するため人間にできる手段は全て尽くしたとしているが、ダムは依然として決壊の危険があるため、周辺には近付かないよう要請している。(c)AFP