【8月5日 東方新報】今年上半期(1~6月)、中国の自動車販売台数が前年同期比で12.4%も減る中、なぜか日系車の販売台数が伸びている。中国自動車工業協会が発表した統計によると、日系車の販売総額シェアは昨年上半期19.9%だったが、今年上半期は22.7%と2.8ポイント上昇した。これはドイツ車のシェアを大きく超える。

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 上半期の販売台数は、東風日産が53万2100台(前年同期比0.3%増)、広汽本田が38万200台(同12.7%増)、東風本田が36万4800台(同34.4%増)、一汽豊田自動車が35万1900台(同3%増)、広汽本田汽車が31万1200台(同22%増)となった。つまり今年上半期は、日系トップ3の自動車企業の中国合資企業はすべてプラス成長を実現したことになる。

 東風本田、広汽豊田の伸び率が大きいのに対し、東風日産と一汽豊田が微増だが、これは単純に比較できない。東風日産はすでに4年連続生産販売台数100万台を超えており、もともと日系他社よりもずっと大きなシェアを獲得していた。東風日産の市場全体におけるシェアは5.4%上昇しており、合資企業の非高級ブランド車市場のシェアは10.5%程度。この二つのデータをみれば、東風日産の競争力は相当なものだ。今年上半期、東風日産はシルフィ(軒逸)、エクストレイル(奇駿)、キャシュカイ(逍客)だけで40万台を販売した。

 この自動車業界逆境時代で、日系車人気がこれほどにも根強い理由とは何か。単に日中経済貿易関係の好転のおかげだと考える人が多いが、それだけではないだろう。それ以上に注目すべきは、東風日産はじめ、日系合資自動車企業の安定した経営体力だ。良い車を一台造ることは決して難しくはない。難しいのはより多種多様な良い車を造り、よく売り、企業のブランド価値を向上させることだが、それには時間、コスト、人材、その他さまざまなものが必要だ。企業の技術力だけでなく、研究開発、製造、営業、サービス、管理などの企業に内在するシステマチックな実力が磨きあげていくものなのだ。この企業のシステムこそが日系車の競争力を支えている。

 国際自動車産業の一般論としては100万台規模が一つの目安で、この規模での安定経営が維持できていれば、こうしたシステムを備えているといえるし、そうでなければそうしたシステムは形成されていないということだ。

 企業の中には200万台、500万台から1000万台の売り上げ目標を掲げるところもあるが、これはこの規模があってこそ、企業の運営コストを抑えることができ、市場競争に有利に臨めるということだ。もちろん規模の追求は品質の軽視とイコールではない。結局は技術が市場を動かす。技術革新の進化とレベルアップの実現に専心することによって、まばゆい製品を生み出し、同時に市場のリズムを掌握し、正しいマーケティングの補完があって、いわゆるキングオブプロダクツともいえるメガヒット商品が誕生する。

 逆境に強い日系車企業のバランスの取れた企業システムは、「下手な鉄砲も数打てば当たる」式の考えにとらわれて競争力ある新商品を生み出せないでいる自動車企業にとって、強い啓発を与えるものといえるだろう。(c)東方新報/AFPBB News