【8月2日 AFP】生命が生存できる可能性のある惑星を持つ恒星系が、天文学者の国際チームにより発見された。研究を主導したスペインの天体物理学者が1日、発表した。

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 スペイン・カナリア諸島(Canary Islands)にある天体物理学研究所(Institute of Astrophysics)のラファエル・ルケ(Rafael Luque)氏によると、地球から31光年という、宇宙的観点からみると比較的近い位置にある赤色矮星(わいせい)「GJ 357」を公転する惑星が三つ発見されたという。

 今回の発見は、太陽系の外にある系外惑星を探索する米航空宇宙局(NASA)の人工衛星「TESS(テス)」により可能になった。NASAも発見を報告している。

 特に興味深いのは、GJ 357から最も離れた位置にある惑星「GJ 357d」は生命が存在できる可能性があると、研究者らが推測していることだ。他の二つの惑星は温度が高すぎるとみられている。

 惑星の生命存在可能性を示す兆候としては、岩石質の地形や地球と同じくらいの大きさであること、中心星からの距離が「ゴルディロックス・ゾーン(Goldilocks Zone)」(生命居住可能領域)内にあることなどが挙げられる。この温暖な領域内にある惑星は主星から近すぎもせず、遠すぎもしない距離にあるため、生命の必須条件である液体の水が適温に保たれている。

 中心星からの距離が太陽から火星までの距離にほぼ等しいことを考えると、惑星GJ 357dの温度は氷点下53度と推定されると、ルケ氏はAFPの取材に語った。

「この惑星に(火星とは異なり)大気があるならば、中心星から受ける熱を保持でき、水が液体で存在する可能性がある」

 GJ 357dの大きさは地球とほぼ同じか、最大で2倍くらいと推定される。

 生命存在の可能性のある惑星が太陽系近傍で発見されたのは、今回が初めてではない。2016年、太陽系からわずか4光年の距離にある惑星「プロキシマb(Proxima b)」の発見は大きな話題となった。

 だが、問題が一つある。

 プロキシマbとGJ 357dは、公転する惑星の重力の影響による中心星のわずかなふらつきを検出する「視線速度法」と呼ばれる系外惑星探索法によって発見された。

 だが、実際に生命存在可能な惑星かどうかを確かめるには、この方法では精度が不十分だとルケ氏は指摘する。

 ルケ氏によると現状では、惑星の大きさや密度、組成などを測定するには、惑星が中心星と観測者との間を横切る現象を検知する、いわゆる「トランジット(恒星面通過)」法を用いる必要があるという。

 プロキシマbや他の生命存在の可能性のあるより近傍の惑星については、トランジット観測はまだ成功していない。

 ルケ氏と研究チームは今後数か月のうちに、「トランジット」中のGJ 357dの捕捉を試みる研究を実施し、GJ 357dが生命存在可能な惑星であることを確認する予定だ。(c)AFP