【8月22日 AFP】音楽を新たな高みに押し上げる世界最大のグランドピアノが完成した。製作を手掛けたのはドイツ出身のダーフィト・クラビンス(David Klavins)氏(62)で、ラトビアのバルト海(Baltic Sea)に面した港湾都市ベンツピルス(Ventspils)のコンサートホールの壁に設置された。

 このピアノは、スチール製フレームの縦型グランドピアノで、客席から3階上ぐらいの位置につり下げられているかのように見える。演奏するには鉄製の急な階段を上らなければならない。

 クラビンス氏は1987年に370型グランドピアノを製作しており、このモデルがこれまで世界最大のピアノとされていた。

 新モデル「470i」の大きさは、紺色に塗られたスチール製フレームが高さ6メートル、一部の弦が長さ5メートルと、370型を大きく上回っている。ピアノが奏でる音楽は重厚な音で響きわたる。

 クラビンス氏はAFPの取材に、「この楽器に最もふさわしいのは、ラフマニノフ(Sergei Rachmaninov)やスクリャービン(Aleksandr Skryabin)といった非常に表現が豊かな作品だろう。だが、ベートーベン(Ludwig van Beethoven)のソナタもこのピアノでは全く違ったものに聞こえる」と語った。

 さらにクラビンス氏は「世界記録を作るため、ピアノの大きさと弦の長さを決めたわけではない。この特別なホールに来る演奏者と聴衆全員にとって、想像し得る最良の音を作り出したかった」と続けた。

 映像は、ラトビアのコンサートホールに設置された世界最大のグランドピアノ470iを演奏するクラビンス氏。7月23日撮影。(c)AFP/Imants LIEPINSH