【8月1日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領批判の急先鋒(せんぽう)として知られる野党勢力指導者で、無許可デモを呼び掛けたことで逮捕・収監されたアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏(43)が体調に異変を来して一時入院した件をめぐり、国立病院の医師らは7月31日、同氏の体内から毒物の痕跡は見つからなかったと発表した。

 地元メディアによると、ナワリヌイ氏の検体検査を行ったスクリフォソフスキー救急研究所付属病院(Sklifosovsky Research Institute of Emergency Care)のアレクセイ・トカレフ(Alexei Tokarev)院長は、「毒物は見つからなかった」と話したという。

 ナワリヌイ氏のかかりつけの医師のアナスタシア・ワシリエワ(Anastassia Vassilieva)氏は、この検査結果を「まったくばかげている」と否定し、ナワリヌイ氏の髪や使っていたシーツや服も検査されるべきだったと主張した。

 7月28日にナワリヌイ氏が「重度のアレルギー症状」を示して、刑務所から病院に救急搬送されると、ワシリエワ医師は、これが何らかの化学物質による中毒症状である可能性を指摘していた。

 ワシリエワ医師は31日、自身のフェイスブック(Facebook)ページに、「この化学物質が、ナワリヌイ氏の血液や尿から検出できるほどの量だったのか、どれほどの期間体内にとどまるものなのかはわからない」と投稿した。

 ナワリヌイ氏は29日、ワシリエワ医師の反対をよそに刑務所に送り返された。同医師は、ナワリヌイ氏が刑務所内で再び毒物にさらされる危険があると主張していた。

 ナワリヌイ氏は、自身にアレルギーの既往歴はなく、今回の症状は「アレルギー」だとする公式発表に納得いかないと話した。

 ロシアでは、反対勢力の人物が原因不明の病気にかかることが間々あり、今回の事件は暗殺未遂だったのではないかとの疑念も野党政治家らから出ている。(c)AFP