【8月1日 AFP】中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への抗議をきっかけに7週間以上デモが続く香港では、デモ参加者44人が暴動罪で起訴され一部が7月31日に裁判所に出廷した中、緊張感がさらに高まっている。

 30日夜に44人の起訴が発表されると、たちまちデモ隊と警官隊との新たな衝突が発生。起訴されたデモ参加者に連帯を示すため数百人が警察署前に集結し、警官隊が唐辛子スプレーや警棒を使用する事態となった。

 この際、物を投げつけられた警官1人がデモ隊にショットガンを向ける様子が映像に捉えられ、テレビで放映された。

 また、翌31日夜の警察の発表によると、別の警察署前に集まっていたデモ隊に向けて通りがかった車から花火が打ち込まれる事件があり、3人が逮捕されたという。

「逃亡犯条例」改正案への抗議デモは、より民主的な改革の要求や、自由が失われつつある現状への抵抗を呼び掛ける運動に発展し、1997年の香港返還以来最大の中国の支配に対する挑戦となっている。

 香港は、英国から中国に返還された際の条件に基づき、司法の独立や言論の自由など本土では認められていない権利と自由を享受してきた。しかし、こうした権利が削減されていると多くの香港市民が指摘する中、格差の拡大や生活費の高騰、中国への統合が進み独自の言語や文化が脅かされているとの認識などが、人々の怒りに油を注いでいる。(c)AFP