【8月1日 AFP】毎日の食事が、がん治療の助けになる可能性があるという証拠が増える中、また一つ新たな証拠を追加する研究結果が発表された。食事はすでに、糖尿病や高血圧などの病気を管理する上で極めて重要な要素の一つとされている。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、赤身の肉や卵などに含まれるアミノ酸の摂取を制限することで、マウスのがん治療効果が著しく向上し、腫瘍の増殖が減速することが今回の研究で明らかになったという。

 論文の主執筆者で、米デューク大学医学部(Duke University School of Medicine)のジェイソン・ロカセール(Jason Locasale)准教授は「非常に強力な効果がある。有効に作用する薬剤で確認されるのと同じくらい強力な効果だ」と話す。

 ロカセール准教授は、AFPの取材に「薬剤単独では効かないがその薬剤を食事と組み合わせると効果が出たり、あまり効かなかった放射線治療を(中略)食事と組み合わせるとよく効いたりするなどの状況が数多く存在することを、今回の研究は示している」と語った。

 今回の研究では、アミノ酸の一つ、メチオニンの摂取制限に焦点を当てた。メチオニンは、がん細胞の増殖を助ける「一炭素代謝」と呼ばれるプロセスで重要な役割を果たす。

 老化防止や体重減少とメチオニン制限との関連性はすでに指摘されているが、メチオニン制限ががん細胞にとって重要な意味を持つことは、がん治療を向上させる有望な方法の一つとなる可能性があることを示唆していた。