【8月2日 東方新報】米経済誌「フォーチュン(Fortune)」は7月22日、2019年世界企業番付「フォーチュン・グローバル500」を発表した。中国企業は129社に上り、初めて米国企業(121社)を抜いた。特に今回初めてランクインした468位の小米科技(シャオミ、Xiaomi)は快進撃は、中国経済の急成長ぶりを象徴している。同社は2010年に創業したばかりで、今回500強入りした企業で最も若い。

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 フォーチュン・グローバル500は、企業の総収益を基準に順位付けしたもの。中国企業は1996年に2社が初めて入り、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年でも12社だった。今回の129社の業種は石油・エネルギー系13社、銀行11社、保険10社、自動車6社、不動産5社、インターネット・小売り4社、家電3社など、エネルギーからサービス分野まで幅広い。

 トップ5では、1位の国際的小売り大手のウォルマート(Walmart)、3位の英・オランダのロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)以外は、中国石油化工集団(SINOPEC、シノペック)が2位、中国石油天然気集団(China National Petroleum Corporation)が4位、中国国家電網(State Grid Corporation of China)が5位と、中国企業が3社を占めた。

 シャオミは「低価格」と「高性能」を両立させたスマートフォンの開発で躍進を遂げた。また、新製品は年間1機種に絞り、大量生産でコストを削減。広告費を使わず、微博(ウェイボー、Weibo)などの口コミを活用してきた。通信事業者とは関係なくオンラインで販売し、若いユーザーをとりこにした。

 シャオミ創業者の雷軍(Lei Jun)氏は若い頃からアップル(Apple)の設立者スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏のファンで、シャオミの販売戦略はアップルと同じ手法をたどってきた。雷軍氏は「中国のジョブズ」、シャオミは「中国のアップル」ともいわれる。

 もちろん、シャオミは「アップルの模倣」という批判も受け続けてきた。中国では、見た目をアップルのiPhone(アイフォーン)に似せたスマホを格安で販売する企業がいくつかあったが、シャオミはその技術力により、「iPhoneと変わらない性能で値段は安い」と中国の若者層を中心に消費者のハートをつかんできた。

 かつて北京や上海で国際モーターショーが開かれると、日本車やドイツ車とそっくりの「中国の国産車」が新車として登場し、日本など海外では「パクリ車がまた登場」がそのモーターショーでの最大のニュースになっていた。しかし、近年は中国の自動車メーカーが技術力を高め、斬新なデザインのEV(電気自動車)も増えるなど、露骨なコピー車は影を潜めてきた。「模倣」の段階を経て「創造」へ向かうのが、成長する中国企業のパターンといえる。

 一方で、その成長の過程が現在、新たな「壁」をつくっている。シャオミに話を戻すと、中国では華為技術(ファーウェイ、Huawei)やオッポ(OPPO)、VIVOなど同業他社がシャオミにならった販売戦力を展開し、スマホのシェアの奪い合いが激化している。また、中国でスマホの需要が一巡し、スマホの性能が向上したことで、以前ほどの売れ行きがなくなってきた。シャオミは海外進出を展開しているが、国際的にはシャオミがアップルと並ぶようなブランドを確立していない。

「中国企業同士の猛烈な戦い」「中国国内市場の飽和状態」、そして「海外でのブランド力の弱さ」。シャオミが直面している問題は、他の中国企業にも共通している課題だ。(c)東方新報/AFPBB News