【7月31日 AFP】2012年の米プロバスケットボール(NBA)で「リンサニティー(Linsanity)」と呼ばれる大旋風を巻き起こしながら、昨季限りでトロント・ラプターズ(Toronto Raptors)を退団し、現在は無所属の状態にあるジェレミー・リン(Jeremy Lin)が、ゆかりのある台湾でイベントに登場し、自ら「どん底」と評する現状に涙を流した。

 ラプターズが昨シーズンにファイナルを制したことで、アジア系米国人初のNBA王者の一員となったリンだが、本人は調子が上がらないままプレーオフではほぼベンチを温め続け、シーズン終了後に制限なしのフリーエージェント(FA)となった。しかし新シーズンの開幕が近づく中、今も所属先は見つからずにいる。

 そのリンは30日、両親が米国へ渡る前に過ごしていた台湾で、イベントのため教会で登壇。ここ数年のキャリアを振り返り、集まった人たちの前で「FAはつらい。なんだかNBAからもういらないと言われたような気がする」と涙を流した。

 プレーオフでは平均わずか3.4分の出場にとどまり、ファイナルでは1分しかコートに立てなかったリンは、もともとはラプターズで何年もプレーするつもりだったが、昨シーズンは「シュートの感触が過去最悪」だったという。

 そしてFAは「せきを決壊させるとどめの一撃」だったと話し、顔を手で覆って泣き崩れた。その後、なんとか落ち着きを取り戻したリンは、「状況は毎年悪くなる」「向こうでは、一度どん底に落ちたら後は上がるだけという言い方もするが、僕には一度落ちたらどんどん深い泥沼にはまっていくように思える」と続けた。

 ハーバード大学(Harvard University)出身のリンは、2010年に地元のチーム、ゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)でNBA入り。2012年にニューヨーク・ニックス(New Yorks Knicks)を7連勝に導き、チームの戦績をタイに戻すと、これが「リンサニティー」現象を呼んで一躍時の人となった。その人気は米国を超え、バスケが高い人気を誇る一方でNBAスターがほとんど生まれないアジアへ波及した。

 ところがその後は、けがもあって安定した活躍を見せることができず、ニックス退団後はヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)、シャーロット・ホーネッツ(Charlotte Hornets)などを転々とし、プロ9年で所属したNBAチームは八つに及んでいる。(c)AFP