【7月31日 Xinhua News】密猟監視や保護対象動物の追跡、赤外線・高解像度カメラでの動物探索など、科学技術イノベーションの成果はここ数年、人工知能(AI)技術の発展に伴い、希少野生動物の保護分野でますます重要な役割を果たしつつある。

 中国黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)の国家林業・草原局ネコ科動物研究センターとハルビン工業大学、同大学傘下の哈工大大数据(ビッグデータ)集団はこのほど、東北虎(アムールトラ)と東北ヒョウおよびその獲物動物の画像データの初期スクリーニングや種別分類、個体識別などの情報処理の効率化を目指し、共同で「野生動物AIビッグデータ・リアルタイム監視プラットフォーム」を開発した。科学技術により絶滅が危惧されるネコ科大型動物の追跡と保護を行う。

 哈工大大数据集団の李福泉(Li Fuquan)副総裁によると、同プラットフォームはインフラとデータスマート、業務プラットフォーム、可視化プラットフォームで構成されており、AIや機械学習、神経言語処理などの技術を用いた生態環境や動物個体群、動物個体の研究などが行える。IoT(モノのインターネット)感知やビッグデータ、スマート人工視覚などの最先端技術を利用し、姿や足取り、色、毛皮模様を主な識別要素とする個体識別モデルを作ることが可能だという。また、写真や映像資料などにAIによる生物個体識別を行い、画像データ識別枠に対して東北虎や東北ヒョウ、獲物個体と思われる画像範囲を選択し、個体識別結果や個体識別類似度などをリアルタイムに表示することもできる。

 プラットフォームは、国を跨いだ野生動物保護にもサービスを提供する。東北虎や東北ヒョウおよびその獲物動物の個体と群れの追跡モニタリングにより野生動物の「活動図」を作成し、地域内の野生動物の活動を一目で把握することができる。また、個体データベースを構築することで保護活動をデータ面から支えるほか、地域性のマクロ分析用ビッグデータを作成し、生態環境の変化と種別の発展の関係に関する研究に役立てることもできる。

 李氏は「データは野生動物に対する理解を深めてくれる」と語り、将来はさらに多くの科学技術成果が野生動物の保護と研究を後押しし、野生動物保護のデータスマート時代を築くことになるとの考えを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News