【7月30日 AFP】昨年1年間で少なくとも164人の土地・環境保護活動家が殺害されたと、国際NGO「グローバル・ウィットネス(Global Witness)」が30日、明らかにした。殺害された活動家らは、採鉱企業や食品企業、伐採業者などによる搾取から、居住地や土地、天然資源などを守ろうとしていた。

 国際的な監視活動を行っている同NGOの年次報告書によると、世界各地で「数え切れないほど」のいっそう多くの人々が、暴力や脅迫、あるいは抗議取り締まり関連法の適用や悪用を通じて口を封じられている。

 活動家や先住民社会にとって群を抜いて危険な場所はフィリピンで、昨年は30人が殺害されたという。また環境保護運動に関連して昨年、コロンビアで24人、インドで23人が殺害された。

 先住民に関する国連(UN)の特別報告者、ビクトリア・タウリコープス(Victoria Tauli-Corpuz)氏は、「土地や環境保護の活動家たちは、そのうちのかなり多くが先住民だが、彼らは自分たちの権利を守ろうとしているのに、テロリストや略奪者、犯罪者だと断じられている。これは世界各地でみられる現象だ」と述べた。

 グローバル・ウィットネスの記録によると昨年、環境運動関連で発生した最大の殺害事件はインド南部タミルナド(Tamil Nadu)州で起きたもので、銅山が環境へ及ぼす影響に抗議した13人が一度に殺害された。

 またフィリピン中部ネグロス(Negros)島のサトウキビ畑でも、女性と子どもを含む9人の労働者が射殺される事件があった。

 昨年殺害された土地・環境保護活動家の総数は、過去最多だった2017年の207人から減少したものの、同NGOは、実際の死者数はもっと多い可能性があり、事件が報告されていなかったり遠隔地で殺害が起きたりしている可能性もあると強調している。(c)AFP/Patrick GALEY