【8月2日 CNS】中国・内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)オルドス市(Ordos)のオトク旗(Otog)に、世界で唯一の「モンゴル秘史博物館」がオープンした。

 この博物館はモンゴル民族に関する資料の収集や展示、研究、教育を行うとともに、チンギスハン(Genghis Khan)の一代記を中心とした中世モンゴルの歴史書「モンゴル秘史(元朝秘史)」を広く宣伝することで、民族文化の振興を目指す総合的な文化施設だ。総面積は6220平方メートルで、6つの展示ホールと伊金広場で構成され、さまざまな文化財、芸術品、書籍など計2676点を展示している。

 伊金広場には、書道の巻物の形をした石板に6万字以上の文字で「モンゴル秘史」の文章を刻んでおり、壮観な光景になっている。石板の正面はモンゴル語、後ろは漢文で、文字には金箔(きんぱく)が貼られて光り輝いている。

 館内では「モンゴル秘史」の初期の資料や関連の文献を体系的に展示し、チンギスハンの金貨や元朝の花押、銅貨などの重要文化財211点も所蔵している。また、中国人とモンゴル人画家30人以上により描かれた「モンゴル秘史」の油絵作品と13種類の「モンゴル秘史」シリーズ芸術品も陳列。多様な芸術を通じて歴史的書籍の世界を再現する手法は、世界でも類を見ないという。

 創設者の包金山(Bao Jinshan)氏がモンゴル語で書写した「モンゴル秘史」の巻物は、内モンゴル自治区政府が上海万博に出展している。

 さらに、博物館には、ラクダの骨に刻まれた「モンゴル秘史」も陳列されている。690本のラクダの骨に「モンゴル秘史」282節すべてを彫り込み、300グラムの銀で装飾されている。景徳鎮市(Jingdezhen)の青花磁でできた磁器の柱に「モンゴル秘史」全文を書いたものもある。磁器の柱は高さ220センチ、直径60センチ。全部で66本あり、チンギスハンが死去した時の66歳に合わせたものだという。

「モンゴル秘史」はモンゴル族初の歴史書で、チンギスハンの祖先伝承から生い立ち、青少年時代、モンゴル高原を統一していくまでの偉大な業績が書かれている。この貴重な歴史的大作は、古代モンゴル社会の生産活動や組織機構、氏族の変遷、部族間の戦争、社会心理、民俗習慣など各側面を鮮やかに描いており、古代モンゴルの百科事典でもある。(c)CNS/JCM/AFPBB News