【7月29日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、民主党のアフリカ系議員を攻撃して黒人の多い地元選挙区を「ネズミがはびこり、めちゃくちゃ」などと述べたことをめぐり、来年の大統領選で再選を果たすために政策ではなく「ヘイトを議題にしている」と非難を浴びている。トランプ氏は28日、人種差別主義者だとの批判に対し、ありのままを言っただけだと反論した。

 トランプ氏は27日、政権批判で注目を集める民主党のイライジャ・カミングス(Elijah Cummings)下院議員をツイッター(Twitter)への投稿で攻撃。同議員の選挙区があるメリーランド州ボルティモア(Baltimore)について「ネズミがはびこり、めちゃくちゃ」「あんなところに住みたがる人間はいない」などと中傷した。黒人人口の多いボルティモアは、殺人事件の発生件数が全米最悪級とされる。

 この発言についてトランプ氏は28日、「明白な事実を持ち出しただけで、何も間違ったことはしていない。イライジャ・カミングス議員の選挙区とボルティモアの町に対する仕事ぶりは、非常にお粗末だ」と反論した。ただ、一連の主張を裏付ける事実は一切明らかにしなかった。

 さらに同日午後、トランプ氏はカミングス議員を「人種差別主義者」呼ばわりするなど攻撃を続行。トランプ政権の政策について調査を開始した下院監視・政府改革委員会(House Committee on Oversight and Government Reform)の委員長を同議員が務めていることをやゆし、「彼(カミングス議員)の過激な『監視』はジョークだ!」とツイートした。

 トランプ氏の罵倒に対しては、非難が殺到している。地元紙ボルティモア・サン(Baltimore Sun)は「一人ぼっちになるよりは、近所に害虫がいたほうがいい」との社説を掲載。ツイッター上では「#WeAreBaltimore」「#BaltimoreStrong」など、ボルティモアを支持するハッシュタグを用いてトランプ氏を批判する声が相次いでいる。

 トランプ氏が民主党の非白人女性議員4人を攻撃し、「人種差別発言」だとして下院で非難決議が採択されてから、まだ2週間もたっていない。4議員の一人、ラシダ・タリーブ(Rashida Tlaib)議員は28日、米CNNテレビに対し、トランプ氏には米国をよりよくするための施策を行う気すらないと批判。「われわれの大統領は、ヘイトを議題にしている。政策議題など一つもない。それが彼のつまずきのもとだ」と述べた。

 また、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領政権のスタッフだったアフリカ系米国人148人は26日、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の論説欄に連名で書簡を公開。4議員のほか「現在、トランプ氏の攻撃の標的となっている全ての人」を支持すると宣言した。

 カミングス氏や4議員に対するトランプ氏の発言は、2016年大統領選で支持層となった不満を抱えた白人労働者層と、次の大統領選の投票先をまだ決めていない白人層の双方に、危険を冒してでもアピールしようと計算されたものとみられている。(c)AFP