【7月29日 AFP】19F1第11戦ドイツGP(German Grand Prix 2019)は28日、決勝が行われ、レッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)がトラブル続出となった雨中の激戦を制し、今季2勝目を挙げた。

 21歳のフェルスタッペンは、ライバルたちが次々に脱落する状況を存分に生かし、通算7勝目を奪取。最後尾の20番手スタートだったフェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)が2位に食い込み、前日父親になったトロ・ロッソ(Toro Rosso)のダニール・クビアト(Daniil Kvyat)が3位と健闘し、自身3回目の表彰台フィニッシュを果たした。

 マシンが完全に1回転するスピンを喫しながら、優勝を果たしたフェルスタッペンは「信じられない。すさまじく厄介なコンディションだった」「正しい判断をするには、集中しなければならなかった。スリックタイヤを履いているときにスピンしたけど、大丈夫だった」とコメントした。

 ベッテルは昨年のこの大会で、トップで走行していながら急な大雨に見舞われた際にクラッシュし、リタイアを強いられていたが、その借りを返した。ベッテルは「長いレースで、終わりがないように感じるときもあった。今はとにかくうれしい」と話した。

 3位のクビアトは、恋人が週末に長女を出産し、父親になったことを明かしながら「表彰台に戻れて夢のようだし、トロ・ロッソにとっても最高の結果だ。本当に久しぶりだからね」と話している。

 一方、近代F1参戦200レース目、モータースポーツ発祥125周年を祝っていた王者メルセデスAMG(Mercedes AMG)は、両ドライバーのクラッシュもあって惨敗した。6回のピットインを行ったルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、他選手のペナルティもあって9位に昇格したものの、レースは11位でフィニッシュ。バルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)はリタイアという結果だった。

 レーシングポイント(Racing Point)のランス・ストロール(Lance Stroll)がチーム過去最高の4位入賞を果たし、マクラーレン(McLaren)のカルロス・サインツ・ジュニア(Carlos Sainz Jr.)が5位、トロ・ロッソのアレクサンダー・アルボン(Alexander Albon)が6位に入った。

■セーフティーカーが4回出動

 前日までの記録的な暑さから一転、レースは雨が降りしきる中、セーフティーカーに先導された数周のフォーメーションラップを経て、全車がウエットタイヤを履いてスタートした。また各車の後ろに水煙が高く上がる状況だったため、周回も64周に短縮された。

 そうしたコンディションにもかかわらず、自身87回目のポールポジションから出たハミルトンは、ほぼ完璧なスタートを切り、1周目でボッタスに2秒差をつけた。ベッテルも最初の五つのコーナーで6台を抜き、同僚のシャルル・ルクレール(Charles Leclerc)は10位から6位に順位を上げた。一方、フェルスタッペンはスタートに失敗した。

 その後、コースに各車が密集し、路面のグリップが失われる中で、レーシングポイントのセルヒオ・ペレス(Sergio Perez)が後ろ向きで壁に激突してマシンを損傷。これによってセーフティーカーが3周導入されたため、上位勢はレース再開前にピットインし、インターミディエート・タイヤに履き替えた。

 25周目には、フェルスタッペンがミディアムのスリックタイヤに変更し、レッドブルとしては賭けに出たが、最終コーナーでスピンを喫し、フェルスタッペンがタイヤについてしきりに不満を言う場面も見られた。

 その後、バーチャル・セーフティーカーが短時間導入される中で、先頭のハミルトンがソフトタイヤに変更。一方、ターン12のサックスコーナーでコースアウトしたルクレールは叫び声をあげ、そのままリタイアとなった。

 しかし、ハミルトンもその後にコースアウトしてフロントウイングを損傷。ハミルトンはコースを横切ってピットインし、パーツを交換してインターミディエートに履き替えると、5位での復帰からすぐに3位へ順位を上げた。しかし不正なピットインにより、5秒のタイムペナルティを科された。

 その後、今度はルノー(Renault)のニコ・ヒュルケンベルグ(Nico Hulkenberg)が最終コーナーでクラッシュし、3回目のセーフティーカーが出動したことを受けて、フェルスタッペンと10位のベッテルがピットインし、新品のインターミディエートにタイヤを交換した。

 レースは46周目に再開し、トップのフェルスタッペンは4回目のピットインを行ってスリックタイヤに変更。ボッタス、サインツ、レッドブルのピエール・ガスリー(Pierre Gasly)、アルボンもこの動きに続いた。

 対してハミルトンは47周目にピットインし、ここで5秒のペナルティーを消化したため12位に後退。メルセデスの悪夢はこれだけでは終わらず、ターン1でボッタスがスピン。4回目のセーフティーカーが導入される中でハミルトンは再度ピットインしたが10位以内には浮上できず、チームにとって記念の週末は0ポイントで幕を閉じたかに見えた。

 しかしその後、アルファロメオ(Alfa Romeo Racing)のキミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)とアントニオ・ジョビナッツィ(Antonio Giovinazzi)に30秒のペナルティーが科されたため、ハミルトンは入賞圏内の9位に昇格した。(c)AFP