■大統領再選狙い白人支持層にアピール

 2020年米大統領選の民主党の最有力候補であるジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領は、トランプ氏をツイッター上で直接非難した。

 バイデン氏は、「このように彼とボルティモア市民を攻撃するとは、見下げ果てたやつだ」「あなたはまたしても、大統領の器ではないことを自ら証明してしまった。大統領とは本来、この国を引き裂くのではなく、引き上げなければならないはずだ」と記した。

 2020年米大統領選の候補者6人も、同様の非難を行った。黒人のバーナード・ヤング(Bernard Young)ボルティモア市長も、トランプ氏の発言を「中傷的で危険」とはねつけた。

 歴史ある港町ボルティモアは人口60万人。立派で裕福な地域と広範な極貧地域が併存しており、殺人発生率は全米最悪級となっている。黒人人口は、カミングス氏の選挙区の過半数、市全体の60%以上を占めている。

 カミングス氏は、監視・政府改革委員会(Oversight and Government Committee)の委員長を務め、トップクラスの知名度を誇るアフリカ系米国人議員。移民収容施設における劣悪な処遇に関する報道など、トランプ政権の政策に関する調査を行ってきた。

 トランプ氏は最近、有色人種の民主党女性議員4人に対し人種差別的な攻撃を行い、「犯罪が横行する」出身地に「帰るべき」と述べていた。しかし実際には、3人は米国生まれで、全員が米国民だった。これを受けて米下院がトランプ氏を非難する決議案を可決してから、まだ2週間もたっていない。

 4人への攻撃は計算されたもので、来年の大統領選での再選に向けて準備が進む中、人種問題で緊張が高まる危険を冒してまでも、白人が大半を占める自身の支持層にアピールしようとしたものだとみなされている。(c)AFP/Brian KNOWLTON