【7月27日 AFP】中国本土に近い香港北西部の元朗(Yuen Long)区で27日、白服の集団による民主派デモ参加者襲撃事件を受けてデモ禁止令が出されているにもかかわらず、多数の市民が鉄道駅に集まり、襲撃に抗議するデモ行進を始めた。

 元朗では21日夜、犯罪組織「三合会(Triad)」とみられるバットや棒を手にした白服の集団が鉄道駅に現れ、反政府抗議デモの参加者や通行人らを無差別に襲撃。少なくとも45人が負傷し病院に搬送されたことから、市民の間に激しい怒りが巻き起こった。

 即時に現場へ急行しなかった警察にも、体制派の暴徒を黙認しているなどと厳しい批判が集まっている。当局との癒着を疑う声も出ているが、警察はこれらの疑惑を否定。デモ参加者らが住民たちから報復襲撃を受ける恐れがあるとして、27日のデモを禁止するという異例の措置に出た。

 だが、指導者不在の一連の反政府デモの運営用に使われているソーシャルメディアチャンネルには瞬く間に、元朗でデモに参加したいとの意志表明が多数あふれた。中には、元朗で買い物ざんまいしようとの提案や、スマートフォン向けの人気ゲーム「ポケモンGO(Pokemon Go)」をしに元朗に集合しようと呼び掛ける声もあった。

 27日の昼過ぎには大勢の市民が元朗駅に集合し、周辺の通りに向かうとデモ行進を始めた。現場では多数の警官がデモ隊から距離を保って警戒に立っており、商店の多くは休業している。

 これまでのデモと異なるのは、抗議のプラカードや旗を掲げた参加者が少ないことだ。だが参加者たちが、警察のデモ禁止令にあらがう固い決意を抱いていることは明白だ。

 デモに参加した医療関係者の女性(25)はAFPに対し「私たちはみんな自発的な意志で来ました」と述べ、「だから、これは違法な集会ではないはず。私はただ一個人として、自分の考えを他の人たちに知ってほしくてここに来たのですから」と語った。

 別の参加者女性も「私たちは怖がっていない、香港人は恐れて委縮したりしないと示したいんです」と語った。(c)AFP/Yan ZHAO, Elaine YU