【7月27日 AFP】地中海のリビア沖で25日に移民を乗せた船が沈没した事故で、救助隊員らは翌26日、遺体62体を収容したことを明らかにした。地中海で発生した事故としては、今年最悪レベルのものとなった。

 同国首都トリポリ東方に位置する港都市フムス(Khoms)近くの沖合では25日、定員を上回る乗客を乗せた船が沈没し、沿岸警備隊が移民約145人を救出した。

 援助機関は当初から、多数の移民が水死したと懸念しており、国際移住機関(IOM)は、行方不明者の数が110人を超えると推定。また漁師らは、同海域では多数の遺体が水面を漂っていると報告していた。

 リビア赤新月社(Red Crescent)の救助班長は26日、沖合で25日夜以降、「赤新月社のチームが62人の遺体を収容した」と説明。「遺体はまだ、海岸へ続々と打ち寄せられてくる。合計の数を出すのは不可能だ」と述べた。

 国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によると生存者らは、船が沈没した際、約400人が乗船していたと話していたという。

 最初に現場へ駆け付け、生存者らを救出した漁師らの一人は、「船が沈没した海域では、水面に浮いている遺体を見た」と説明している。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は、今回の事故について「地中海での今年最悪の悲劇」だと述べた。

 リビア海軍報道官によると、救出された移民の多くがエリトリア出身者だったが、複数のパレスチナ人やスーダン人も、移民の一時受け入れ施設への収容を待つグループの中に含まれていたという。(c)AFP