【7月27日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は26日、中国をはじめとする比較的裕福な国々が世界貿易機関(WTO)で「発展途上国」として優遇措置を受けていることを不服とし、WTOが制度を見直さなければ米国はこうした国々の「発展途上国」扱いをやめると警告した。

 トランプ氏は、「WTOは壊れている。世界で最も裕福な国々が自らを発展途上国と申告し、WTOのルールを回避して特別扱いを受けている。だが、もうこれまでだ!!! きょう、私は通商代表部(USTR)に対し、こうした国々が米国を食い物にして(WTOの)制度を悪用するいんちきを止めさせる措置を取るよう指示した」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 トランプ氏はロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)通商代表に宛てた文書で、WTOの制度見直しについて90日以内に「具体的な進展」がない場合、米政府は「自らを不当に発展途上国と申告し、WTOのルールや交渉において不適切に優遇措置という恩恵を受けている」WTO加盟国は全て、発展途上国として扱わないと述べ、さらに、「協力可能な国々と連携し、可能な手段をあらん限り用いて、確実にWTOの制度を改革させる」よう指示している。

 トランプ氏は矛先を発展途上国として不当に恩恵を受けている複数の国々に向けてはいるが、念頭の一番にあるのは中国だ。

 トランプ氏は、世界で最も裕福な国10か国のうち、7か国が発展途上国と申告していると指摘。20か国・地域(G20)のメンバーであるメキシコや韓国、トルコも発展途上国扱いを受けていると不満を示した。

 米国が新たな措置をとった場合、実際に米国の政策がどう変化するのかは不明だが、中国へのさらなる報復関税発動が可能になるとみられる。

 かつてWTO米代表を務めたジェニファー・ヒルマン(Jennifer Hillman)氏も、WTOが発展途上国としてきた国々に優遇措置を与えてきたのは、ほとんどの場合、すでにかなり昔のことだと疑問を呈し、「発展途上国と自己申告している国でも、現在では米国などの先進国と同様の法的要件をおおかた満たす義務がある」とAFPに語った。(c)AFP/Heather SCOTT