【7月26日 AFP】ベトナムの首都ハノイで、冷凍されたトラ7頭の死骸が車の中から見つかり、野生生物の不正取引の主犯とみられる容疑者の逮捕につながった。公安省機関紙が26日報じた。同国は、以前から問題になっている隣国ラオスからの野生生物密輸ルートの取り締まりに当たっている。

 同紙によると、トラの死骸はハノイ市内の駐車場に止められていた車内で発見。25日に3人が逮捕され、うち1人はグエン・フー・フエ(Nguyen Huu Hue)容疑者で、長年ラオスから動物を密輸していたとみられている。

「フエ容疑者は会社を設立し、トラや野生生物の違法取引を隠蔽(いんぺい)するため、建築資材を販売していた」と同紙は報じている。

 死骸押収時の写真から、トラ7頭はいずれも幼体とみられている。

 野生のトラなのか、あるいはラオスの違法なトラ飼育場から持ち込まれたものなのかは、これまでのところ分かっていない。ラオスには違法飼育所が多数存在し、アジアで需要のあるトラの肉や体の部位の多くを供給している。

 ベトナムはトラや象牙、センザンコウ、サイの角などの消費拠点であると同時に、野生生物の主要な密輸経路にもなっている。一部はベトナム国内で消費されるが、残りは中国へ密輸される。

 ベトナムでは、トラの体の一部が伝統薬やアクセサリーとして利用される。かつては多数のトラが生息していたが、今は著しく減少している。(c)AFP