【7月26日 AFP】オーストラリア北部クイーンズランド(Queensland)州は、末期患者の「最後の願い」をかなえるため、専用の救急車を運用すると発表した。同州では2年前に、死期の迫った女性の希望を聞き入れ、病院に向かう途中で海岸に寄り道した救急隊のエピソードが話題になり、これに着想を得たとしている。

 同州救急隊は2017年11月、海を臨むハービー湾(Hervey Bay)で担架のそばに立つ救急隊員の写真をフェイスブック(Facebook)の公式ページに投稿。患者が最後にもう一度海が見たいと望んだためだと書いていた。

 同州政府は今週、使わなくなった救急車1台を、末期患者の最後の願いをかなえる専用車にすると発表。ペットや子ども、孫に会いに行く、美術館や博物館を訪れるといった希望を想定しているという。

 スティーブン・マイルズ(Steven Miles)州保健相は、「人々の最後の願いをかなえるのは、容易でない場合もある。歩行や座位が困難、あるいは酸素供給装置といった医療器具や支援を常時必要とする人を搬送することもあるからだ」と説明。

「アンビュランス・ウィッシュ・クイーンズランド(Ambulance Wish Queensland)」と名付けられた同国初のこの取り組みは、オランダで運用されている類似の活動を参考にしているという。

 マイルズ氏は、医療訓練を受けたボランティアと必要な器具を備えた専用車両で末期患者らを搬送し、人々の最後の願いを確実かつ安全にかなえてあげられればと話している。(c)AFP