【8月18日 AFP】潟湖(ラグーン)を取り囲むように広がるナイジェリアの経済中心地ラゴス(Lagos)が今、大西洋がもたらす脅威に直面している。ここで起きているのは、海岸の浸食だ。これは、地球温暖化による海面上昇が原因の一つとされているが、建築資材となる砂を採取する目的で行われるしゅんせつ作業の影響も大きい。

 世界銀行(World Bank)の3月の調査によると、温暖化の影響でアフリカの大西洋沿岸では最大4メートルの浸食が起きているとされ、一部の経済拠点に大きな影響が出ているという。

 海岸の浸食を食い止めるため、これまでさまざまな試みが行われてきた。だがこうした取り組みが新たな問題を生むこともあったと専門家らは指摘する。とりわけ多額の資金が投じられた建設プロジェクト「エコアトランティック(Eko Atlantic)」をめぐっては、世論を大きく二分した。

 このプロジェクトは、裕福な投資家らが強力な政治的支援を受けて2007年に発足。海に造成した埋立地に超高層ビルが立ち並ぶ超高級地区を整備する計画で「アフリカのドバイ」ともうたわれている。

 だが近年の景気後退によってこの大規模事業は失速した。しかし、その時には高級地区ビクトリア島(Victoria Island)から大西洋に向かって延びる人工半島の造成に使用するための砂数百万トンが、すでに海底から運び出されていた。

 人工半島の周囲には、大西洋の大しけにも耐えられるよう、岩やコンクリートブロックによる護岸壁が設置されている。開発業者らはこれを「ラゴスの長城(Great Wall of Lagos)」と呼んでいる。

 8.5キロ分すべての設置はまだ終わっていないが、関係者らは設置済みセクションによってビクトリア島のビジネスハブは海岸の浸食から「救われている」ことを主張する。エコアトランティックのウェブサイトには、これまで海水に漬かっていたためにアクセスできなかった道路が再開され、放棄された不動産への再投資も行われるようになっていると書かれている。

 だがこの巨大プロジェクトを解決策と見る向きがある一方で、逆に大問題を起こしたと指摘する声もある。