【7月27日 Xinhua News】中国初の中古車輸出に向け、中古の商用車が天津(Tianjin)東疆(Dongjiang)保税港区で船積みされ、このほどナイジェリア・ラゴス港に向かった。中古車輸出はモデル転換・高度化を模索している中国自動車業界に新しい方向を示し、中国自動車業界の輸出史上、重要な意義を持つ。

 輸出された中古商用車は計60台、70万ドル(1ドル=約108円)余り相当。安徽江淮汽車(JAC)、北汽福田汽車、金杯汽車など複数の自主ブランドを網羅している。今回の事業は天津中古車輸出実験実証企業の中北汽車産業有限公司が行った。

 同社の李鋒(Li Feng)総経理は「中北汽車はこれまでずっと、アフリカの中古車市場開拓に取り組んでおり、経験を積み重ねてきた」とし、ナイジェリアに立ち上げた中国・アフリカパイオニア自由貿易圏をよりどころに、重点的に商用車輸出分野を開拓すると述べた。

 中国の中古車輸出市場は広く、発展の余地が大きい。中国汽車流通協会の統計では、中国の中古車取引台数は2018年1382万台と、新車販売の半分にも及ばなかった。先進国の中古車取引台数が新車販売の2倍、中古車の輸出が取引台数の10%以上だとすれば、発展の潜在力は非常に大きい。

 中国公安部交通管理局によると、2019年6月時点で、全国の自動車保有台数は2億5000万台、保有台数が100万台を超える都市は66に上る。

 中北汽車の親会社中北科技集団の張文東(Zhang Wendong)董事長は「自動車保有台数の増加と国家環境保護政策の実施強化、中古車市場規模の拡大を受け、中古車輸出の規制緩和は、国内の既存中古車を活性化させる重要な手段になり、新車販売のけん引にもつながる」と語った。

 ここ2年、中国国内の自動車市場は全体的に冷え込み、中古車も同じく苦境に陥った。業界関係者は、中古車輸出の展開を通じ、国内の老朽化した自動車の流通を加速させ、環境の圧力を軽減し、さらに国内自動車消費市場の活力を喚起し、自動車業の構造転換・高度化を促す効果があるとみている。

 商務部、公安部、税関総署は4月末、「条件の熟した地域での中古車輸出業務を支援する通達」を出し、北京市、天津市、上海市、浙江省(Zhejiang)台州市(Taizhou)、広東省(Guangdong)など10省・市を中古車輸出業務展開地域の第一陣に選んだ。

 「市場調査の結果、中国の中古車輸出市場は主にアフリカ、中央アジア、東南アジアなどに集中している。インフラ整備に商用車の大量投入が必要なためだ。また、輸出された商用車のうち、国内の自主ブランドが多く、国産ブランドの国際市場進出にプラスになっている」と李氏は語った。

 天津税関関係者によると、中古車輸出の展開は、「一帯一路(Belt and Road)」沿線諸国との経済・貿易交流を深め、対外貿易による輸出の安定増加を促すための重要な措置だという。

 中古車輸出は新興産業として、多くの企業が参入しているが、海外進出は順調でなく、企業として一連の難題を克服しなければならない。

 張氏は「一つ目は技術規格で、国内外の異なる排ガス基準により技術調整をし、輸出先の要求を満たす。二つ目はアフターサービスで、国内の輸出企業は輸出先にアフターサービスネットを構築する必要がある。三つ目は為替差損リスクで、国際マクロ経済情勢が不透明な今、すべての貿易企業とも直面せざるをえない」と語った。

 天津大学中国自動車戦略発展研究センターの郭焱(Guo Yan)主任は「国産中古車の質が高く、一定の競争力を備えている上、多くの排ガス基準が輸出先の基準以上となっている。また、価格優位も重なり、中国の中古車は海外の途上国で市場が非常に広い」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News