【7月24日 AFP】第18回世界水泳選手権(18th FINA World Championships)は23日、競泳各種目の決勝が行われ、男子200メートル自由形では、トップでフィニッシュした選手が微妙な裁定で失格となり、孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ、中国)が大会連覇を達成。表彰式では再び他選手が抗議する騒動があった。

 レースは激しい争いの末、リトアニアのダナス・ラプシス(Danas Rapsys)がリオデジャネイロ五輪金メダリストの孫を破ったように見えたが、スタート前にわずかに体が動いていたとして失格になった。

 表彰式では、3位のダンカン・スコット(Duncan Scott、英国)が孫との握手や記念撮影を拒否するという、400メートル自由形のマック・ホートン(Mack Horton、オーストラリア)と同じ抗議を行うと、これに対して孫が激高し、手を振りかざしながらスコットに「お前は負け犬。勝ったのは俺だ!」と叫ぶ一幕があった。

 これで世界水泳11個目の金メダルを獲得した孫だが、2018年の抜き打ち検査で血液サンプルを壊すなどしていたとする国際水泳連盟(FINA)の報告書が大会前に報じられ、ドーピング疑惑の中で出場している。FINAは孫に出場許可を出しているが、世界反ドーピング機関(WADA)はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てており、9月に審理が予定されている。

 それでも、中国の熱烈な女性ファンたちから大歓声を受ける孫は、1分44秒93をマークして金メダルを獲得。松元克央(Katsuhiro Matsumoto)が1分45秒22で銀メダル、スコットとマルティン・マリウティン(Martin Malyutin、ロシア)が1分45秒63の同タイムで銅メダルとなった。

 女子100メートル平泳ぎでは、リリー・キング(Lilly King、米国)がこちらも過去に薬物違反を犯しているユリア・エフィモワ(Yuliya Efimova、ロシア)に勝利し、1分4秒93で金メダルに輝いた。

 19日に孫とFINAの反ドーピング体制を痛烈に批判していたキングは、スコットの抗議について「他の選手が自分の信念のために立ち上がるのは、個人的に見ていて気持ちが良い」と話している。

 王者ケイティ・レデッキー(Katie Ledecky、米国)が体調不良で欠場した女子1500メートル自由形では、イタリアのシモナ・クアダレッラ(Simona Quadarella)が優勝。100メートル背泳ぎでは、女子はカイリー・マス(Kylie Masse、カナダ)が58秒60で連覇を達成し、男子は徐嘉余(Jiayu Xu、シュウ・ジアユー、中国)が52秒43で金メダルを獲得した。(c)AFP