【8月24日 AFP】ロシア・モスクワ中心部にあるサロンの一室で、銀髪のゲボルグ(Gevorg)さん(26)は、長くて黒いまつ毛にマスカラを塗り、頬骨にハイライトを入れて鏡に映る自分の顔をチェックした。

 ロシアでは、インターネット上でメークの仕方を教えたり、美容に関するアドバイスを行ったりする若い男性ブロガーが増えている。ゲボルグさんもその一人だ。彼らのこうした活動は、知名度や収入アップにつながるだけではない。保守的なこの国の厳格な性規範に対する挑戦でもあるのだ。

「自分の仕事は楽しい教育のようなもので、人々が別の方法で成長する手伝いをしている」と、ネット上では名前だけを公表しているゲボルグさんは話す。

 ゲボルグさんは数年前から、ネット上でメークのコツをアドバイスしている。化粧品店で働くうちに、商品の使い方がマンネリ化している女性客が多いことに気付いたという。

 今では定期的にインスタグラム(Instagram)を更新し、週に何本か動画をユーチューブ(YouTube)に投稿している。フォロワーや購読者は25万人を超え、その多くが若い女性だ。

「メークは娼婦みたいにけばけばしくするものではないと幅広い層に伝えること、どんな生き方をしていようとも思い通りに自分を表現し、選択肢を持っているということを示すことが自分の仕事だ」とゲボルグさんは話す。

 ここ数年、男性美容ブロガーたちが世界中で人気を集めている。だが、ロシアでは2013年に同性愛宣伝禁止法が制定され、LGBT(性的少数者)の活動は違法とみなされるようになった。その上、政治家らは男女平等を推進するよりも女性の美しさを称賛しがちだ。そのため、こうした男性ブロガーが注目を集めることは、ロシアでは特別な意味を持っている。