【7月23日 AFP】文明社会と接触していないとされるブラジルの先住民が、アマゾン(Amazon)の熱帯雨林で狩猟をする姿を捉えた貴重な映像が22日、保護団体によって公開された。

 北部マラニョン(Maranhao)州の熱帯雨林の中で撮影された58秒間の映像では、山刀を持つ先住民アワ(Awa)の若い男性が葉のにおいを嗅ぎ、その後撮影者の方を見ると数秒後に、槍を持つ先住民の一団と一緒に走り去る姿が捉えられている。

 先住民らの権利保護団体「サバイバル・インターナショナル(Survival International)」によると、アワ人は、企業優先の政策を推し進めるジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領に勢いづけられた伐採業者らから頻繁に攻撃を受けている。

 映像は近くに住む先住民グアジャジャラ(Guajajara)の一人が撮影し、サバイバル・インターナショナルが公開した。同団体のスティーブン・コリー(Stephen Corry)代表は、「先住民の虐殺に立ちはだかるには、世界的な抗議しかない」と述べた。

 撮影を行った先住民による映像製作団体「ミディア・インディア(Midia India)」のエリスバン・グアジャジャラ(Erisvan Guajajara)氏は「アワ人の許可を得て撮影したものではないが、もし世界に公開しなければ、アワ人は伐採業者らに殺されてしまう」と訴えた。

 コリー氏はこの映像が昨年8月に撮影されたことを明かし、「伐採業者はすでに彼らの親族の多くを殺害し、他の人々を森の外に追い払った。ボルソナロ大統領と伐採業界の仲間たちは、まだ生き残っている先住民たちを絶滅させたいだけだ」と非難した。

 サバイバル・インターナショナルによると、アワ人の多くは文明社会と接触があるが、熱帯雨林の中には今も文明社会と接触がない一部の人々が住んでいる。そうした熱帯雨林地域で「急速に伐採が進められている」という。

 ボルソナロ大統領は1月に大統領に就任して以来、選挙戦で同氏を支援した伐採業者や鉱山業者、農民たちの利益のために、アマゾンの熱帯雨林や先住民に危害を加えているとして批判を浴びてきた。

 一方でボルソナロ氏は19日、外国人ジャーナリストらに矛先を向け、推計80万人とされるブラジルの先住民が「先史状態のまま、技術や科学、そして現代の無数の素晴らしさに接触せずにいること」を望んでいると非難した。(c)AFP