【7月22日 AFP】21日に投開票された参院選で、新たな政治団体「れいわ新選組」から出馬した2人の重度身体障害者が当選し、障害者への理解促進や社会のバリアフリー化につながるとして障害者団体や支援者などから称賛の声が上がっている。

 当選した2人は、筋肉が徐々に動かなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦(Yasuhiko Funago)氏(61)と、脳性まひを患う木村英子(Eiko Kimura)氏(54)。2人とも車いすを使用している。首から下がまひしている木村氏は選挙戦中、障害者が必要とする介護を充実させる制度を訴えた。

 また、呼吸器も使用している船後氏は当選後の会見で、介助者の代読を通じて談話を発表。「弱々しく見える僕ですが、根性だけは人一倍。命がけなのですから」と語った。また「僕という人間を見て、必要な支援とは何か、今一度考え直していただける制度をつくっていきたいと思います」と述べた。

 舩後氏の当選を受け、日本ALS協会(Japan ALS Association)の嶋守恵之(Shigeyuki Shimamori)会長は声明で、重度障害者が国政で積極的な役割を果たすことは前例のない社会参加であり画期的だと歓迎した。

 内閣府によると現在、日本国内で身体、精神、知的障害のある人は963万人。2020年の東京パラリンピックを前に政府が障害のある人たちに配慮したインフラ改善を呼び掛ける中、舩後氏と木村氏が当選した。

 大阪大学(Osaka University)の非常勤講師で、障害学を専門とするマイケル・ギラン・ペキット(Michael Gillan Peckitt)氏はAFPの取材に対し、「日本で障害のある人々が選挙で選ばれ、議員になるということは、日本における障害者への態度が変わる可能性の象徴として非常に重要だ」と述べた。また「(移動)アクセスの面では日本は概して、必ずしも他の国よりひどく劣っているわけではないが、文化的態度が異なって見えることは時にあり、しかもよりネガティブに見える」と語った。

 舩後、木村両氏の議席獲得によって、国会は対応を求められるだろう。国会の広報担当者はAFPの取材に対し、舩後氏の車いすは、これまでに政治家が使ったことのある普通の車いすよりも大きく重そうだとした上で、舩後氏に何が必要かを聞き、議院運営委員会で協議することになるだろうと述べた。また舩後氏は審議中に終始付き添う介助者を必要としており、その点も協議される。(c)AFP